最初と最後にくれた贈り物

父から最初の贈り物をもらったのは、多分私が、母のお腹の中にいたときだと思う。

そのころ、父の事業の失敗があり、家計は相当厳しい状態の中にあったらしい。

私がお腹にいることを母が、父に報告すると、父は、「そうか、良かったな」と答えたと、大きくなってから、母に教えてもらった。

 

私がこの世界につながることを、祝福の言葉で迎えてくれたのは、まぎれもなく、父だった。わがままで、浪費家で、すぐに怒りだしてしまう父に、何度も困った時に、

「最初にもらった祝福の言葉」を思い出すと、「まあ、いいか」と気持ちを納得させることが出来た。

 

旅行が好きで、食いしん坊な父は、海水浴に行っても、京都や奈良に歴史散策に行っても、家族の中で、一番楽しそうに笑っていた。奈良の仏像を拝んだ時、「すごいな!見てみろ!」と、宝探しの途中で宝物を見つけたようにはしゃぐ姿は、今でも、心の中に焼き付いている。

 

お寿司に、焼き肉に、パスタ、旅行中、土地勘のない場所を歩きながら、「ここに入ってみようか」と言って、父がフラッと入っていくお店は、いつも雰囲気が良く、美味しいお店ばかりだった。「食いしん坊だから、お店探しがうまいんだね」母とそう言って、笑った。

 

長いこと、肺気腫を患っていた父は、年々、苦しそうにすることが多くなった。あまり、遠出することが出来なくなって、家にいる間中、食いしん坊な父は、「今日の昼ご飯は何?」と子供のような顔で私に聴いてきた。若い頃に美味しいものを食べるのが趣味だった父。その父が「美味しかった」と言ってもらうために、昼ご飯担当で台所に立つ私は、いつもレパートリーに悩んでいた。

そんな時、ふとしたきっかけで、チヂミを焼いてみたら、すごく喜んで、「美味しいな、もう一枚ないの?」と、無邪気に喜んでいた父。その時から、チヂミは、我が家の昼の定番メニューになった。

 

闘病生活の末、最後に入院した病院で、苦しそうな表情を、ふっと和らげるように、父は言った。「お医者さんが、『明日、奥さんに大好物の料理を、一品、持ってきてもらっていいよ』って、言ってくれた。それで、何にしようとおもったけど、ya-koが焼いたチヂミを持ってきてくれないか、ほんのちょっとでいいんだ」

 

最後になるかもしれない食事、父が望んだのは、お寿司でも、焼き肉でもなくて、私の焼いた、簡単なチヂミだった。「わかった、明日もってくるね。」と言う私に、父は

「ya-ko、ありがとう。大好きだよ」と、言ってくれた。

 

あんなに食べたがってたチヂミなのに、父がそのチヂミを食べることはなかった。その夜。容体が急変し、病院に駆けつけたが、父は、眠るように息を引き取った。

最期の言葉を言うために、父は、最後の力をふりしぼってくれたのだと思う。

 

3人姉妹の中で、自分が一番、父と長く一緒にいた。その間、衝突やわずらわしさを感じたことも何度もある。それでも、一番長く生活を共にしたからこそ、最後に贈り物をもらったような気がしている。

「大好きだよ」と、父が言ってくれた時、私は、それまで、感じていた、不安や恐れがすっと消えていくのを感じた。これから、生きていく中で、私は、父の最期の言葉を思い出し、生きる力にしていくことになるだろう。

 

部屋の隅に置かれた、献花台。そっとチヂミを焼いてお供えした。ほんの少しの後悔。それでも最後まで、充実した人生を生きて、立派に去っていた父のことを、チヂミを焼くたびに、私は思い出すだろう。

~夏真っ盛り、カジュアルなひと時に捧ぐ~ 真夏のBGM特集2022 

 

8月に入り夏も本番今年は、特に暑さが身に沁みますね。 

今日夕涼みに近所のスーパーに出かけたら蝉やひぐらし大合唱の中、入道雲が夕焼けに染まり、夏真っ盛りの空気を肌で感じることが出来ました。 

スーパーに入ると夏休みの子どもおじいちゃんらしき人がウキウキとした足取りで、通路を歩いてるのが見えて、日常のなんでもない景色の中に、夏の興奮が垣間見えるような気がして、嬉しくなりました。 

 

そこで、盛夏の今、日常のふとした時間に溶け込むような、真夏のBGMを探してみることにした私。2022年の夏を彩る曲は、どんなカラーになるでしょうか? 

 

 

まずは、要注目のこの曲Nicky Youre, dazy Sunroof  

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ビルボードでじわりじわりとチャートを挙げてきている話題のサマーソング。 

太陽を一身に浴びて、夏のひと時、素敵な彼女と過ごしてみたい。そんなひたむきなラブソング。軽快なサウンドと、キャッチ―なメロディーが心地よいですね。 

夏のデートにももちろんぴったり。エアコンの聴いている部屋で、アイスクリームを食べながら、夏の日差しを窓腰に感じて、この曲をかけてみたくなります。 

 

rei brown White Honda (feat. Lecx Stacyは、独特の激しさを感じる楽曲。 

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君のWhite Hondaのバックシートでハイになっていく」ドキッとしたフレーズが心を掴みます。MVは、カーチェイスを様々な角度から撮っていて、さらに興奮に拍車がかかります。このMVを見て思い出したのは、あるCSチャンネルのTV番組。昔懐かしいポップスがかかる中、ひたすら、かっこいいスポーツカーが高速道や町中の道を走っている風景を流しているのを、ただひたすらに眺めるというシュールな内容。この番組を見て、 

どこかにでかけている気分」になると、少し、元気が出てきたものです。夜のドライブにこの曲をかけると、普通の田舎道がスリリングな気分になりそう。 

 

ディスコ調のメロディーが浮きたつ気分にさせてくれるのは、 LizzoAbout Damn Time 

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なんとなく、コロナ禍でみんながおうちにこもっていた後をタイムリーに彩る曲だと思うのです。いろいろ未熟で、うまくいかないこともあった。けれども、私はもう、大人。これから、お外に繰り出そう。最高な時間が始まるよ! 

弾けたくなる気持ち満載の歌詞と、グルーブ感のあるサウンドは元気になること間違いなし。夕食の片付けが終わり、まったりとくつろぎながらこの曲をかければ、部屋の中は、パーティールームに早変わり。長い夏の夜に、聴きたくなる曲ですよね。 

 

ここで、最近知った、最高にかっこいいJポップのサマーソングをご紹介。 

RIRI, KEIJU, 小袋成彬 『Summertime』 

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RIRIさんのボーカルがとてもパワフルでリズム感も抜群。「なぜ、もっと早くにこの曲に出会ってなかったんだろう!」と思うほどに、強烈なインパクトを残してくれました。 

お祭りの花火大会が終わった後あちこちのおうちの前で、二次会的な花火をしている家庭を目にします。そんな、しみじみとした時間に、この曲をかけながら、花火を楽しめたら、いいな。もちろん、海辺のドライブには、ばっちり合います。 

 

夏休みはこれからが本番長い夏の間、私たちは、カジュアルな日常のひと時を重ねていくことになるでしょう。そんな時、何の変哲もない日常が、特別な夏の時間に変わるように、音楽の力を変えていけたら、素敵だと思います。 

 

うだる暑さの中、熱中症にはくれぐれも気を付けて、2022年の夏、乗り切っていきましょうね! 

定番からニューウェイヴまで… まるごと楽しもう。2022年のお祭りソング特集。

 

 

お久しぶりです。随分、更新が途絶えてしまっていました。皆様、いかが、お過ごしでしょうか? 

先日、私の街の夏祭りが規模を縮小して、3年ぶりに開催されることが決まりました。通りには、のぼりが設置され、久しぶりの夏の賑わいに、少しだけ活気づく街の気配を感じています。

もちろん、昨今の世界状況は、まだ、予断を許さないところではあります。それでも、様子を見ながら、日常を取り戻す第一歩が踏み出せるかもしれないという気分は、それだけでも、私たち市民にとって、大きな喜びを感じる出来事になっています。

久しぶりの夏祭りを前に、お祭りを感じる「お祭りソング」を聴いて、意味深い、夏の始まりに浸りたいと、曲探しを始めました。

 

まずは、大分、懐かしい1995年の名曲。

The Cardigans で、「Carnival」。

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この曲を知ったのは、実は、ある天気予報のBGMとして、でした。メランコリックでお洒落な曲調。甘くささやくようなボーカルにくぎ付けになった私は、早速、CDショップでこの曲を探していました。愛しい人への真っすぐでひたむきな思いと、楽しみにしていたカーニバルへの高揚感が、クールなサウンドと溶け合って、じっくり聞き入ってしまいます。

日本でも、浴衣を着た、若い女性たちは、彼氏と連れ立ってのデートにときめいたり、彼氏がいなくても、女友達とつれだって、街へ繰り出し、気になる男の子とすれ違う時にドキドキしたり。祭りとときめきは切っても切り離せない、と言っても過言ではありません。今年も、どこかの街で、どこかのお祭りで、胸をときめかせている男女の恋模様が、繰り広げられるのかな~なんて、甘い気分になりますね。

 

祭り、といえば、花火大会。花火大会と言えば、この曲。

Katy Perry で 「Firework」。2010年のリリース。

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花火の曲を歌っているこの曲。MVでは、日常にやるせない思いを抱えている人々の姿に焦点が当たります。心の中に着火した花火。熱い想いが心に宿る時に、奇跡が起こる。とても、勇気をもらえるストーリーになっていると感じました。

思えば、コロナになってから、私たちは、どれほど、花火から遠ざかっていたでしょう。一年目は我慢の年。二年目は、遠くの花火をリモートから眺めて、三年目、いよいよ、花火が目の前で上がるかもしれない。それだけで、どこか、泣いてしまいそうな気持ちです。

どうか、雨が降らないで、三年分の想いを、空に放ちたい。

そんなとき、この曲はとても、意味深いものになるに違いありません。

 

花火で気持ちが盛り上がった後は、終わらない夜の宵が始まります。

そのようなときは、2014年のこのナンバー。

Nicki Minaj で「The Night Is Still Young」。

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終らない夜、飲んで騒いで語り明かそうよ。ちょっとだけ、はじけちゃおうか。だって、夜はまだ若い。私たちのように、ね。

ニッキー・ミナージュは、いつでも、ぶっ飛んでいて、毅然とした態度で、人生をとらえている真の強い女性のイメージです。そんな彼女のこの曲は、今を真剣に生きる人々の一瞬の刹那を描いたもの。夜に、こんなことを思って、みんなで、会って、騒いで、青春の一ページがそこにありますね。祭りは、若さの象徴。誰もが、祭りの間、一時は、若い気持ちになって、その夜にしかない「今」を燃やし尽くします。夏祭りは、そんな気持ちが最高潮に達する瞬間です。ほんの一瞬の、今を楽しみましょう。皆さん。

 

そして、2022年のお祭りを最高に盛り上げる曲が見つかりました。

藤井 風で、「まつり」。

 

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毎日が、特別な祭り、という感じ方。春夏秋冬通して人生が祭り。みんなが、肩を落としたり、発奮したりしながら、こぎつけた祭り。その祭りを彩り鮮やかに、どこか慈愛に満ちた歌詞で優しく包んでいく。これは、まさに究極の「お祭りソング」だと思います。

R&Bと、お囃子のメロディーの融合はありそうでなかったアンサンブル。とても斬新な音作りですね。

 

日本全国で繰り広げられるお祭り。やっぱり、祭りがなかったら、夏は寂しい。

リア充も、陰キャも、大人も、子供も、やっぱり、お祭りで集まって、過行く季節、同じ空の下で、同じ花火見て、笑おうよ。

 

ここまで、お祭りソングを気持ちの向くまま、綴ってきました。

もし、今後の状況次第で、お祭りが中止になってしまったとしても、一時、お祭りを夢見て、お祭りソングで気持ちを盛り上げられた瞬間は、自分の中に財産として、降り積もると思います。また、いつか、こんな気分で、お祭りを楽しめる日が来ますように。

 

 

 

 

Johnnyは籠の中になんていない 氷上に美を追い求めたスケータ― ジョニー・ウィアーのこと

 

 

 

長年、フィギュアスケートを応援していた私にとって、アメリカのフィギュアスケーターと言えば、軽快なリズムの中で、小気味よくスケーティングを披露する選手が多かった。

そう、あのスケーターが現れるまでは。

彼の名は、ジョニ・ウィアー。中性的な見た目と、繊細なスケーティングに定評のあったフィギュアスケーターだ。私が彼のスケートに注目し始めたのは、2006年トリノオリンピックの前シーズン、NHK杯の試合からだったと思う。

FPの演目、「秋に寄せて」。 抒情的で悲し気な音楽表現の中に、重心の低いスピンや、勢いのあるトリプルアクセル、確かな技術を溶け込ませた4分半。どこか、ロシア人の音楽表現のよう。そう思った彼の優雅さに惹きこまれるのに、時間はかからなかった。

氷上の彼は、どこか、悲しげで、儚げ。まるで、氷上で詩を紡ぐようなスケーティングには拍手喝さいが待っていた。

翌年のオリンピックシーズン、SPで演じた「瀕死の白鳥」は彼の陽炎のような美しさに更に磨きをかけたプログラムだった。最初から最後まで、瀕死の白鳥を演じ続けるジョニー。赤いくちばしを思わせる片方の赤い手袋。途中のパンケーキスピンでは、赤い手袋の手の表情で、白鳥の動きを演出する細やかさ。男性が白鳥を演じるという、画期的なプログラム。ジョニーは、今の男性が当たり前にアプローチする繊細で中性的な表現を、最初に打ち出した人物といっても過言ではなかった。

しかし、氷上の優雅な彼とは、打って変わって、インタビューの彼は、ここでも、他のスケーターとは、一線を画す姿を見せつけていた。ちょっときわどい問題発言や、ジャッジ批判。思わず目を見張るほど、彼の自己主張の激しいところは、しばしば物議を醸しだすこととなる。あまりのジョニーの問題発言に、スケート連盟が会見を開く一幕もあったほどだ。

 

いつしか、ジョニーは、まわりの先輩スケーターや関係者から、度々忠告を受けることになる。

「なんだって、あんなことを言うんだ、ジョニー」「もう少し、お行儀よくできないの?」

「大人しくしてるんだ、ジョニー、もっと、聞き分け良く」

どんな時も、はっきりと自分の意見を述べるジョニーは、いい意味でも、悪い意味でも、注目を集めた。

トリノオリンピック、SP2位につけたジョニーは、FPでバスの遅れ等があり、動揺したのか、順位を落とし、総合5位に。それでも、エキシビションで演じた「My Way」は、柔らかい表情で、フランクシナトラの力強いボーカルを纏い、情熱的なジョニーの一面を観衆に印象付けた。

ジョニーは問題発言から、様々なバッシングを受けながら、常に新しいことにチャレンジし続けていた。

氷上で、イエス・キリストになり切ったり、ファッションモデルに挑戦したり。

異端児扱いされ続けながらも、彼はジャンプの練習にも邁進し続けた。特に、彼のトリプルアクセルは、オリンピック金メダリストのヴィクトール・ペトレンコをジャンプコーチに迎え、踏切りをきちんと踏み切ることに重点を置いて、こだわりぬいた練習をしていた。

ラインストーンやベルベットを思わせるジョニーの演技。そんなジョニーは、ジャンプやスピンも、手を抜くことなく、基本に忠実。本番で、ジャンプを失敗した後に、当時めずらしい4回転ジャンプに挑戦するなど、アスリートとしても、諦めないマインドを持ち続けていたのだ。

彼は、現役時代も、現役を退いた後も、相変わらず、問題発言、問題行動などで、周りをざわつかせていた、そのたびに人々はジョニーに言うのだ。「もっと大人しく」「いい子にしてるんだ、ジョニー」。それは、まるで、籠の中にジョニーを押し込めようとしているようにも見えて、不自由そうだな、と私は思ったりした。

 

引退して数年たった時、ジョニーの魅力を素直に素敵だとコメントした選手がいる。二度のオリンピックで金メダルに輝いた、羽生結弦選手だ。羽生選手は、あこがれのスケーターにエフゲニー・プルシェンコさんとジョニーの名前を、幼い頃から挙げていた。

四面楚歌のジョニーにとって、美しい表現は美しいと、堂々とコメントしてくれたのは、後にも、先にも、羽生選手が初めてだったように思う。ちょうど、そのあたりから、ジョニーの日本の人気は、徐々に上がり始め、日本のアイスショーに、何度もお声がかかるようになる。その人気にアメリカでも、逆輸入のような形で、ジョニーの人気に火が付き始めた。

 

彼は、いつの間にか、お騒がせキャラを周りに認められるようになっていった。オリンピック金メダリストのタラ・リピンスキーとコンビを組んで、「タラ&ジョニー」で、フィギュア中継の仕事も舞い込むようになってきた。

最近では、社交ダンスの番組に挑戦。柔らかい動きが持ち味だった彼は、ばねのある動きやリズム感も磨きをかけて、更にアイスショーで、新境地を開拓した。昔の優雅なジョニーから姿を変えても、お客さんを楽しませる新たな美を手に入れたジョニーは、最近のファンタジーオンアイスでも輝いていた。

 

もう誰も、ジョニーに「大人しくしなさい」なんて言わない。ジョニーはありのままのジョニーで、多くの人に愛されるスケーターになったのだ。籠の中で、大人しくしていなくても、ジョニーの活躍の扉は、沢山開かれつつあるのだ。

 

2023年にプロスケートも引退するジョニー・ウィアー。新たな扉を開いても、ジョニーらしく、大暴れしてほしい、そんな気持ちを、ファンのみんなは抱き続けている。

カーキのパンツと古着屋さんのお話。

7月になり、熱さが本格化してきました。皆さん、お変わりはないですか?

 

夏になると、一斉にショップがセールを始め、夏のファッションに話題が自然と集まりますよね。今日は、個人的に私が気に入っている夏のコーディネイトと、古着屋さんのお話をしたいな、と思います。

 

事の起こりは今年の6月。私の推しがファッション雑誌のWeb連載を担当することになり、お気に入りのファッションについて語っていました。

その中で、一つのコーディネイトが目に留まり、昔のことを思い出したのです。

そのコーディネイトは、白いTシャツと、カーキのパンツ。

実は、このコーディネイト。私が、夏になると必ずチャレンジしてみたくなるコーディネイトにテイストが近かったのです。

 

今から、14年位前、白いシャツのコーディネイトをネットサーフィンして、検索していた私は、ある古着屋さんのブログに行きつきました。

 

そのブログでは、白いロングシャツを、様々なコーディネイトで紹介していたのですが、その中で、目に留まったのは、白いロングシャツ、黒いジレ、そして、カーキのパンツのコーデでした。

 

清涼感のある白と、土臭さを感じるカーキのパンツ。このメリハリはとても新鮮で、つい真似したくなるものでした。早速店の名前をチェックしつつ、毎日、ブログをチェックしては、手持ちのもので、コーデを真似する日々が続きました。

 

そのお店では、常にありそうでない、オリジナリティのあるアイテムが紹介されていました。藍染のロングスカートや、アフリカの民族衣装のようなチュニック。華やかなアイテムの中に、一点、ベージュのリネン地のストールや、ロングコートを組み合わせて、どこかに硬さを演出しているのが非常に特徴的でした。

 

古着のファッションを生かしつつ、メッセージ性のある古着の世界。お店のコンセプトに惹かれながら、私の住む地域からは、気軽に通えない函館。お金が溜まったら、このお店に行って、ショッピングを楽しもう、そう、思って、日々のお仕事を頑張っていました。

 

ある日、突然、そのお店が閉店のお知らせをUPしたとき、驚いたのと同時に、私の中で、ある思いに行きつきました。「永遠に続くものなんてないんだ。好きだと思うなら、行けるときにその場所に行って、楽しめるときに、思い切って楽しまなくちゃいけないんだ」と。

 

夏になると、必ず、白いレースのブラウスと、カーキのパンツを合わせて、街へ繰り出したくなります。私にとっての夏の定番。そのコーデをするたびに、いつも、ワクワクしながら、ブログをチェックしていた、あのお気に入りのお店を思い出します。

 

私の推しも、白いシャツにカーキのパンツ、宝探しのように、古着屋巡りをしているのかな? 楽しめるときに、お洒落を楽しんで、行けるときにお気に入りの古着屋さんに行ける、そんな瞬間を大切にしてほしいなって思いました。

This show was tasty. 結弦くんが私たちに語りかけるもの Fantasy on Ice2022

とにかく、すごいものを見た。一瞬私は、夢を見ていたのか?

いや、違う。そのショーは現実にあったことなのだ。あまりにあっという間に彼は、氷上を滑りぬけて行った。その感動を、今、私は書き留める。自分の備忘録のために。

Fantasy on Ice 2022 静岡公演が先ほど行われた。

 

羽生結弦くん。あなたは最初のオープニングから、今までとは違う何かを漂わせていた。オープニング宮川大聖さんによる「略奪」。氷上はお洒落なバーにいるような雰囲気。少し、煽情的な振付の中、今までにない妖艶なムードの結弦くん。以前、彼は記者からの質問で「自分をアイスクリームに例えたら、どんなフレーバーか?」と問われたことがある。その時彼は、「ポッピングシャワーかな。一見、甘く見えるかもしれないけれど、口の中に入れたらぱちぱちと勢いよく弾けだす」と、答えていた。

なるほど、口当たりは確かに何かがはじけるような刺激があった。繰り出されるジャンプも勢いを感じた。しかし、その口当たりは、アイスクリームよりも、もっと大人の味わい、そう、よく冷えたシャンパンのような、まろやかさが刺激を包み込むような風味だ。

そして、あなたが演じた「レゾン」。ネット上では「セクシー」や「背徳的」という評判が高かった。しかし、実際に目にしたときに、私が感じたのは、「激しく痛切な心の叫び」と「狂気」だった。短い時間の合間に微妙に凝った動きが随所に詰め込まれていて、瞬き禁止。ありったけの熱情とひたむきさ。何か失って、その先に何か手にしたような。思えば、北京オリンピックで思うような結果につながらずにいた彼。きっと、終わった後に、喪失感もあったことだろう。しかしその一方で彼は「幸せです」とインタビューで答えていた。転倒こそあれ、認定された4回転アクセル。彼にしかできない感動は世界を包み込んだ。その道を究めた選手にしか到達できない境地に彼は到達できたのかもしれない。そのような経緯を経ての、このレゾン。終わった後に、感動と同時に私はなぜか、涙がこみあげてきた。

 

そして、アンコールには、ゲストアーティスト NAOTOさんと新妻聖子さんによる「ノートル・ダム・ドパリ」。これは、ウィルソンの振付による、以前、結弦くんが、少し苦戦していたプログラムだった。「エスメラルダとカジモドを一人で両方演じると言われても、俺、分かんねーし」と、当時答えていた結弦くん。時を経て、表された表現は、磨き抜かれた狂気と情感。きっと、あの頃は、はまらなかった表現も、様々なプログラムを滑ることによって、パズルのピースがはまるように、自分のものになっていったのだな。更なる感動が氷上からあふれ出していった。結弦くん、今回のプログラム、あなたは、年代物の豊潤なワインのように表現が熟成されていた。その一杯に汗と涙、苦悩の果ての笑顔を感じる。

 

いつも全力の結弦くんが、更に上を行く全力で私たちに見せてくれた至高の演技。幸せな気持ちになったし、普段抱えている不安や苦悩を、一瞬忘れることができたよ。

貴方に必要なのは、「金」というより、「プラチナ」かもしれない。

この幸せに、しばらく浸っていよう。また、新たなシーズン、貴方を応援するために。

Good morning World! 朝に聴きたいプレイリストを追いかけて

 

 

おはようございます。日付が変わって金曜日。新しい一日がスタートしましたね。今、このブログを読んでくださっている方は、夜勤の最中でしょうか、それとも、通勤中の電車に揺られているでしょうか? 

朝は、なんとなく慌ただしく過ぎ去ってしまっていませんか? いつも、ゴミ出しに外に出ると、朝にしか感じられない空気の匂いを感じます。すれ違う小学生が「おはようございます!」と挨拶してくれると、嬉しいと同時にこちらも背筋をピンと正して、「おはようございます!」と返事し返してしまいます。

 

今日は、そんな忙しい朝のひと時に寄り添うような私の朝のプレイリストから、今の気分に合った曲をご紹介したいと思います。

 

まずは、オーソドックスなナンバーをご紹介。

Diana Rossの「Touch me in the morning」。

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この曲には、とても思い入れがあります。短大時代にイギリスにホームステイをしていた朝、ホストマザーが用意してくれたコーンフレークを齧りながら、彼女がかけていたラジオに耳を傾けていました。すると、そのラジオからこの曲が流れてきたのです。以前から、お気に入りだったこの曲。私は彼女に「私、この曲、好きなの」と告げました。そしたら彼女も「私もよ。素敵な曲よね」と答えてくれたのです。滞在しはじめて数日目の朝、思えば、その瞬間から、彼女との距離が少し縮まっていったような気がします。「We don’t have tomorrow. But we had yesterday」このフレーズを聴くたびに、私はイギリスの朝を思い出すのです。

 

 

飲み会の次の日に、こんな曲はいかがでしょうか? 

Lukas Grahamの「Drunk In The Morning」。

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朝の五時頃に酔っぱらって、愛しい君に電話をかけちゃう彼。なんとも必死な感じがします。

お酒の「酔い」と朝の時間って、とてもミスマッチで背徳的ですよね。そんな状況でも、会いたい人がいて、話がしたくなっちゃうのは、幸せな気がします。ピアノの心地よいサウンドと歯切れのいいボーカルが、楽しい気持ちにさせてくれる曲。飲み過ぎた昨日の自分に反省しながら、気持ちを切り替えたい人にお勧めです。

 

ちょっぴり切ない朝に聴きたい曲があります。

Shawn Mendesの「Where Were You In The Morning」。

 

youtu.be

きっと、朝が来るまではいい感じだったのでしょうかね。気持ちはいつしか、すれ違い、出て行ってしまった彼女。揺れ動く気持ちがテーマになっています。なんといっても、甘く切なく相手に呼びかけるボーカル、雨の中で聴くと景色をエモーショナルなものにしてくれるのではないでしょうか。

 

朝の空気を独特な世界にかえてくれるのは、この曲。

Rei Brownで、「Islands」。

youtu.be

 

サウンドも、ボーカルも、とても心地よく、癒されるナンバー。歌われているのは、水平線のはるか向こうの景色。島が見えて海が広がって、そして、思い出されるのは、愛しい恋人との思い出。隔てた島が、二人の距離のよう。比喩表現の美しさが光ります。こういった表現は、彼が日本にルーツがあるから生まれたのかな…と思ってしまいました。

昨日別れた「誰か」を思い出したい朝に、この曲が寄り添ってくれるかもしれません。

 

そして、一週間を乗り切った週末の朝に、こんな曲はいかがでしょうか?

 

Rocketmanで「Saturday Morning」。

youtu.be

タイのバンコクを拠点とするバンド。彼らの曲を知ったきっかけは、あるお気に入りのフィギュアスケーターのインスタストーリーからでした。シティポップを思わせるお洒落なサウンドと、優しいボーカルが癖になり、最近、お気に入りになりつつあります。

この曲は、MVが映画を見ているみたいで独特ですね。一週間頑張ってきた自分を、トーストやコーヒーと一緒に癒したいときに、この曲はおすすめです。

 

一日の始まりに、人はいろいろなことを思いながら、社会へと飛び出していくのですね。千人いたら、千通りの朝の姿がそこにあります。

 

忙しい朝だからこそ、音楽の力を借りて、エネルギーをチャージさせて、生まれたての世界にいってらっしゃい! 朝のプレイリスト紹介でした!