複雑な光を放つJojiのニューアルバム PISS IN THE WINDから見えてきたもの

2月6日、Jojiのニューアルバム、「PISS IN THE WIND」が満を持してリリースされた。

丁度、余裕ができた昼下がり、このアルバムを聴きこんだ時に、私の心はとりとめない感情がうねり、灯りの射す方向へ、一塊になって、流れ出ていくのを感じた。

 

ここのところ、私は朝、目覚めた時に、今日の朝日が何色なのかをチェックしている。

冬の朝日の色がオレンジか、白か、その景色を眺めるのは、一日のリズムを形作ってくれる。

 

Jojiのアルバムを聴いたとき、曲の連なりから、私は自分が見つめ続けた朝の光を、

色濃く感じ取ることが出来たのだ。

 

気が付いたら、言葉が静かに湧いてきた。

曖昧で強靭な熱を帯びたこのアルバム。気になった曲の感想を書き出してみた。

 

Cigarette

テンポのいいリリックとリズムに中毒性がある。

Jojiのドライなボーカルが、心に苦みを運んでくる。

彼が煙草を吸っているシーンは、MVなどでも象徴的に使われていたりする。

煙草を吸っているJojiごしの、オレンジの光までリアルに伝わってくるようだ。

 

Love Me better

少し低めのキーではじまるこの曲。

重いトーンのボーカルとアップビートの刻み方が調和している。

こころの叫びを、敢えてサクッと切り取っているのがkey。

 

Hotel California

JojiがLAに馴染みがあるからなのか、この曲には独特の熱が伝わってくる。

オレンジ色に染まった夕焼けの景色を、窓から見ているかのようで、

刹那的な情景を感じる、お気に入りの曲。

 

CAN’T SEE SH*T IN THE CLUB

粗野なタイトルをJojiが選ぶとき、たいていエモーショナルな波がひたひたになるのは、

もう分かっている。

これはYeah rightを聴いたときのような、美しく堕ちていく儚さを感じる曲だ。

 

Sojourn

アナログなムード溢れるサウンド。ノイズに紛れて、意思を感じる歌声が届いてくる。

Rose Colored

このアルバムの中では、少し甘めなトーンを漂わせる。

Jojiの歌声を薔薇に例えるなら、黒が混じった深紅だろう。

 

Silhouette Man

少し存在感を消した歌い方にしているのは、「影」を意識しているのか?

独特なニュアンスの存在感が光る楽曲。

 

Horses to Water

少しオリエンタルが混じるピアノサウンド。彼のルーツを滲ませているのだろうか。

多分、かなりセクシャルに寄った歌詞。

その渦中の切なさや情熱を淡々と表しているから、深い。

 

Strange Home

家って、誰にとっても核になる部分。

そこを少し自虐気味に描いているところが、非常にJojiらしい。

ダークな曲だけど、潔さがある。

 

全体的に、ドライで悲しみが混沌としている印象。

でも、前に進もうとしている強さを感じた。

それは、Jojiが持つ強さなのだと思う。

どの曲もストーリーの重要なkeyになっていて、捨て曲がない。

 

長年Jojiを推しているが、彼の引き出しの多さに改めて感服した。

風景が見えてくる名アルバム、年の始まりから、

この男はやってくれる、と思った2月だった。

光と影と歩んできた「道」~最近気になった曲まとめ。

 

 

ご無沙汰しております。すっかり寒くなりましたね。

最近、昔の曲を聴き返すのがマイブームとなっています。

そんな私の最近刺さる曲を、皆様にシェアしたいと思います。

 

youtu.be

Yeah Right by Joji

不倫、道ならぬ恋を連想させる不穏で狂おしい恋愛の渇望。

登場人物はみんなクズばかり。

 

女の子の卑猥なダンスで心慰められる男。

金目当ての女

どっちつかずの世界で立ち往生している「君」

 

あえて美化されない悲しみを表すことにより、弱さを抱えた登場人物に救いの光がともされていくよう。そこがこの曲の美点になっていると思う。

 

youtu.be

Your Man by Joji

Jojiの中ではかなりド直球の純愛ソング。

別れの傷を抱える相手に「俺が君の男になるよ」と告げる主人公。

 

きっと、ずっと前から恋焦がれていた思いが、シンプルな歌詞のフレーズに滲む。

様々な弱さや傷を、そのまま肯定して、静かに相手を思う決意を言葉にする。

アルバムの最後にこの曲をセレクトするのも、こみ上げる思いが成熟した証のように思える。

 

youtu.be

Lemon by 米津玄師

たまたま、この曲をカバーしたシンガーがバズっていて、比較の為に、本家の曲を聞き直したときに受けた衝撃を忘れない。

ざらついた歌声に様々な色の感傷が垣間見える。

喪失を誠実に描く彼の姿に、大きく心揺さぶられた。

 

「今でもあなたは私の光」このフレーズが特に今は刺さる。

 

数年前、大事な人とお別れした。その人は、わがままでマイペース。でも自由な魂とユーモアを忘れずに、人の心に温もりを灯す人だった。

もう二度と会えなくなってから、「もっと優しくしてあげればよかった」と、公開する日々が続いた。けれども、今になって気づく。

その人は「お別れ」と同時に私に「受け入れて前に進む強さ」をくれたのだと。

 

今、この曲を聴くのは、私自身、喪失と向き合って、乗り越えつつあるということなのかもしれない。

 

youtu.be

Ray of Light / Madonna

 

たまたま観ていた四大陸フィギュアで、Madonnaを使用する選手が二人いて、

その中の一人がこの曲で滑っていた。

そういえば、この曲はMadonnaの中でも、代表曲というイメージはない。

にもかかわらず、この曲はフィギュア選手の使用率が意外と高いのだ。

その理由を探るべく、歌詞を調べたところ、その神秘的な世界観に思わず納得してしまった。

 

「She's got herself a universe」このフレーズが自己の成長と過去から現在までの道のりを濃密に感じさせる。

 

そうか、私も、いろいろあったけど、痛みを経験し、もがき、試行錯誤しながら、

今は受け入れて前に進む段階なのかもしれない。

そういう境地にたどり着いた今だから、きっとこの曲はすごく刺さるんだ。そう思った。

 

 

改めて最近の曲を振り返ると、そこには具体的な心の変化と、私だけの「道」が見えてきた。

以前は闇だけを感じてきたけれど、そのことは自分の中で明確に過去になっている。

忘れているわけではない。様々な出来事が、自分の中で血肉となり、心にそっとしまわれたのだと思う。

今はただ、前を向いて、これからの人生に灯る光を探す道が切り拓かれている。

 

お気に入りの曲から、自分だけの一本道を発見することが出来た。

ここからまた一歩歩き出そう。

 

読んでくれてありがとぅ。

あなただけの道を音楽で探してみるのも、いいかもしれません。

その枝分かれした道の先で、いつか、また会いましょう。

冬と計算ドリルのおはなし

冬が近づくと、決まって調子が悪くなる。なんとなく元気が出なかったり、なんとなく、億劫になったり。

夏の間はあんなに世界はキラキラとしていて、本当になんでも出来そうだったのに。

今、私の心の中から、モチベの欠片がぽろぽろと零れ落ちているような気分になる。

そんな時に、ちょっとだけ気分転換になったことがある。

小学生向けの計算ドリルだ。

ページをめくり、タイマーをセットして、次々に問題を解いていく。その時にちょっとだけ、自分の心にエネルギーが溜まっていく気がする。

数字って、美しいな。計算と向き合っていると、そんなことを感じるようになった。

私たちの世界は多くの数字が取り巻いている。

テストの点数、競技の記録、そして、仕事の評価。

ありとあらゆるものが数字でデータベース化され、私たちを形作っていく。

数字はとても無駄がなく、そして時々とても残酷だ。

数日前、私がお気に入りのスケーターの試合があった。

ずっと怪我や靴の故障に悩まされた彼。そんな彼が繰り広げる演技は、それまでの彼が築き上げてきたテクニックと表現力が見事に調和されていたものだった。

軽やかな四回転、音楽の中に沁みこんでいく氷を削る音、哀愁が漂うパフォーマンス。

弾き出したシーズンベストを見つめながら、安堵する彼を見て、この点数を積み重ねるために彼の重ねた努力の重さを思った。

今日も今日とて、計算ドリルに精を出す。昨日よりは少し、自分の中にモチベが生まれているのを感じながら。少しずつ、自分のベストを積み重ねて、少しずつ成功体験を積み重ねていくことで、心の蓋をこじ開けていけると、いいな。

私のスランプを救ってくれた推しの演技、その感動だけは私の中で、数値化できたりは、しないんだけどね。

最もクールでチルな氷上のモデルスケーター チャ・ジュンファンと洋楽のこと。

そのスケーターに目を奪われたのは、2022年4月、何気なくテレビで STARS ON ICE JAPAN TOUR 2022を見ていた時のことだった。

 

演技前のピュアでイノセントな表情とはガラッと変わって、音楽がかかると、スイッチが入ったように挑発的でビターなムードを醸し出すスケーターがいたのだ。

そのスケーターの名はチャ・ジュンファン。言わずと知れた韓国のエース。滑っていたのは、Imagine Dragonsの「Believer」だった。

 

このナンバーはフィギュア男子の登竜門かと思うほどにいろんなスケーターがトライする曲だ。歌詞はなかなハードなもの。心で血を流してきた男の苦悩と心の叫びがテーマ。しかし、ジュンファンが表現していたBelieverはそれまでの、どのスケーターとも表し方が異なっていた。

歌詞の数字を思わせる意味深な指のジェスチャー、彼は抑圧と攻撃性を随所に発散させる、しかしやりすぎない。どこか抑制されているのだ。難しいジャンプがたくさん入っているわけではないのに、滑りを進めていくごとに、優美なイナ・バウアーや、複雑なステップで、曲の持つ激しさと強さがダイレクトに伝わってくる。これは相当なテクニックだ。どこか、未来に繋がっていくのかな、と思わせるエンディング、終わるころには私は彼の演技にくぎ付けになっていた。

アイスショーが終わるころ、フィナーレでお客さんに挨拶するときに、なかなかフィナーレを仕切るスケーターがいなかったときの一コマ。彼は様子を見ながらすっと腕を上げ、真っ先に笑顔でお客様にお辞儀をした。とても控えめに、でもさりげなく場を仕切るそのスマートさ。「なんて礼儀正しくて、気遣いのあるスケーターなんだろう」

演技の見事さ、甘いルックス、そして演技の後の紳士的な立ち居振る舞い。私にとって、すっかり「沼に落ちた」瞬間だった。

 

ジュンファンには、実はスケーター以外の顔がある。それが「モデル」という仕事。

ジュンファンに興味が沸いた私は、少しずつ、SNSでジュンファンに対する感想を発表することが増えていった。そしたら、親切なジュナニ(彼の韓国の愛称)ファンの方が、彼のモデルショットをシェアしてくれたのだ。

ここでも、彼は比類なきセンスを発揮していた。一つ一つのショットでほんのちょっと目線を変えただけ、ほんの少し首を動かしただけでも、彼は見る人の心にストーリーを感じさせる。撮影されたショットはどれも、芸術作品といっていいクオリティー。

例えば、カバンだったり、時計だったり、宣伝したい商品の目立たせ方も堂に入っている。指示されたとて、こんなに自然にこんなに綺麗に表現するのは、誰にでもできることとは思えなかった。

知れば知るほど、奥深い魅力を携えているジュナニ。君というフィルターから、どのくらいの才能が生まれているの?

そう思ったタイミングで、ますます、夢中にさせてくれたナンバーがある。それが、JVKEの「golden hour」だ。

 

youtu.be

 

この曲は偶然、私のお気に入りだった。暮れゆく空の下で交わされる二人の逢瀬。愛しい人との心が通い合う瞬間を「golden hour」と表すこの曲は、サウンドと相まって非常にチルい。

ブラウンゴールドの衣装に身を包んだジュンファンそのものが、滑っている間、golden hourなのだと、分かるまでに大した時間はかからなかった。

繊細で優しい腕使いと指先の魔法。彫刻作品のように美しいレイバックスピン。なにより、しきりに、客席近くまで接近して、熱を帯びた目線を客先に投げかけるジュンファン。まるで、見に来てくれたお客さんとの時間が「golden hour」なのだというように。これで虜にならないという方が、恐らく無理でしょう。

 

長いキャリアの間、彼にもいろいろあったと思う。拠点をカナダのクリケットから、母国の韓国に戻し、自分のリズムを作り直す日々。繰り返してきた怪我。それでも、氷上でベストを尽くす姿を何度も魅せてくれた。物事の向き合い方が、とても美しい人なのだと思う。

 

洋楽というフィルターを通しても、ジュンファンがどれだけ、クールで、情熱的で、ランウェイを歩くモデルのように、颯爽と戦い抜いてきたかが伝わってくる気がする。

 

締めくくりはこの曲にしよう。ベルギー出身のシンガーソングライターが歌うフランス語の曲。Loïc Nottetの「Mr/Mme」。

youtu.be

 

痛みや苦しみの中で愛を探し求める途方もない悲しみを表現したシリアスな歌詞。

足運びに無駄がなく、柔らかでエアリーな質感の演技。重たい歌詞とは対照的だ。途中膝をついて感情の高ぶりを表現するシーンも、ちゃんと意味がある。光と影、動と静、陰と陽、相反するものは表裏一体であるのかな、と彼の演技を見るたびに思わされる。

 

彼の深い音楽表現と映像表現。もう、彼を知らなかったころには戻れない。

そして彼は、今シーズン、更に磨かれた滑りを、氷上というランウェイで魅せてくれるのだ。

~Chandelierは愛に揺れて~ 浅田真央さんの新しいプログラムに感じたこと

 

 

とにかく、鳥肌が立った。プロスケーター荒川静香さん主催のアイスショー、Friends On Ice2024の千秋楽が先日テレビ放映された。ゲストには、錚々たる顔ぶれが並び、その中で最も注目されていたのは、浅田真央さん。現役を引退後は、自身が立ち上げたアイスショーの発表で全国を回る日々が続き、他のアイスショーへのゲスト出演はこれが初めてだったと思う。自身のアイスショーで、ペアスケーティング、タップダンス、ワイアーアクション、様々なことにチャレンジし続けていた彼女が、今、どのような演技を私たちに見せてくれるのか、期待で胸が高鳴った。

演目は、Siaの「Chandelier」。曲目に合わせて、ロングヘア―をバッサリとショートボブに一新。これは相当チャレンジングなセレクト。

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正直言って、浅田真央ちゃんに対して私が持っていたイメージは、何層にもあしらわれた、フリルとリボンに身を包み、柔らかな風を含んだエアリーなジャンプとスケーティングで、みんなを夢見心地にさせてくれる、そういうロマンティックなものだった。

確かに、情熱的な一面をラフマニノフの「鐘」や、ファイヤーダンスで表現してきてはいた。彼女の柔らかさの中には、真の強さも光るということは、疑う余地もないことだった。

ただ、このChandelierという曲、かなり癖の強い曲だぞ…?

オーストラリア人歌手、Siaはかなり数奇な運命をたどってきていたらしい。

虐待、恋人の死、鎮静剤やアルコール依存症も経験し、苦悩の日々の中で歌ううちに、スターダムにのし上がっていった、苦労人。

この歌の内容も、都合の良いパーティーガールに甘んじている主人公が、お酒の力を借りて、一夜、シャンデリアのぶら下がりながら揺れている。明日のことは考えず、この一瞬、シャンデリアのようにまばゆく輝いて…

かなり、世界観としては病んでいる。ボーカルは、ドレスを引き裂くような痛烈な叫びを感じさせるパンチの効いたボーカルだ。

果たして、これまでの真央ちゃんのイメージと合うのだろうか?

そう思いながら、当日、真央ちゃんの出番を待った。

リンクに登場するボブヘアの真央ちゃんは血塗られたシャツを羽織って、退廃的なムードの中を、流れるようなスケーティングで滑りぬけていく。えぐるようなツイズルは、MVの中のダンサーが披露するピルエットと見事にリンク。

迫力のある滑りと曲の盛り上がりの中で飛ぶ、エアリーな3ループ、まるでシャンデリアにぶら下がって揺れているみたい。

全ての動きが、パズルにピースがはまるみたいにぴったりと曲に呼応していた。

そして、リンクの中から、真央ちゃんが私たちに語り掛ける。「今、私は生きている!」と。訴えかけているような悲痛な叫びが、ダイレクトに心に届いてきたような気がした。

プロモーションビデオでは表現されていなかった世界観がある。それは苦悩しながらも、前に進んでいこうとする力強さ。今まで真央ちゃんが経験してきた様々な表現と技術によって、明確なメッセージが具体的にリンクにちりばめられていったのだ。

フィニッシュのポーズでは、血塗られたシャツを首に巻き、さっそうと闇の中へ消えていく真央ちゃん。

終わった瞬間、母と私は鳥肌と、冷や汗と、瞼から零れ落ちる大粒の涙でしばらく身動きがとれないでいた。

「真央ちゃん、すごいね。これは、歴史に残る名演技だよ」。母のつぶやきにうなずく私。

会場は割れんばかりの大歓声。きっと、みんな、真央ちゃんから大事なメッセージを受け取っていたのだと思う。

幼いころから、数々の栄光を手にし、私たちを感動させ続けてきた真央ちゃん。そんな彼女は、いつも間にか、すてきな大人の女性になり、より一層きらめいたシャンデリアになっていた。スケートで、強さと、深められた愛を滑る真央ちゃん。真央ちゃんの史上最高が更新された瞬間に立ち会えて、本当に幸せだった。

このナンバーは、できれば、世界中の人に見てほしい。今、世界中で不安や恐怖の前にたたずんでいる私たちには、絶対、勇気をもらえる演目だと思うから。

素敵な演技をありがとう、真央ちゃん。これからも、期待しているよ。

のこのことパチンパチン ~For special garden~

亡くなった父は、庭に木をたくさん植えたがった。ジャングルのような庭にするのが好きだと、生前よく口にしていた。

こんなに狭い庭に、もう木は植えられないと、よく母とけんかしていた。でも、父はうっそうと茂った庭を見るのが好きだったのだ。

病気をして、外を出歩けなくなっても、よく、窓から庭を見ていた。季節が過ぎるごとに変化する庭を見るのが、数少ない父の息抜きだったのかもしれない。

 

父が亡くなってから、庭を整える気力もわかなくて、母としばらく無気力な日々を過ごしていた。荒れていく庭を見ては、ため息をつきながら、日々が暮れていく。そんな時間が繰り返されていった。

ある夏の日、ゴミ出しをした後、庭を見たら、「このままではいけない」と、急に心の中から、声がしたような気がした。

「少しだけ、草を抜いてみるか」軽い気持ちで草を抜き始めたら、少しだけ気持ちが軽くなるのを感じた。

その日から、毎日少しずつ、目につくところの草を抜くのが日課になっていった。草を抜いたら、伸び放題の枝が気になって、枝切りばさみを手に、あらゆるところをパチンパチンと切り落とす。ところどころ、枯れた太い枝、そういったものも、目につき始め、のこぎりを片手に力いっぱい、枝を削り、ひもで束ねた。

そうしているうちに、庭は少しずつ整い始め、息を吹き返したように、緑が息づいてきたのが感じられた。

いつしか、母も元気を取り戻し、季節は庭いじりに最適な初夏になっている。

「庭の木を切ろう。そして野菜の苗を植えようよ。」

母のそんな言葉から、天気のいい日には庭に出て、のこぎりをのこのこ、枝切りばさみでパチンパチン。庭には、みずみずしい野菜の苗が増えていく。ピーマンにおくらにプチトマト。父が好きだった庭が、少しだけ再生されていく。

庭いじりをするたびに、父のことを思い出し、新たに生命が動き出した庭に喜びを見出しつつある今日この頃。

思えば、庭を整えることは、私たちと父をつなぐ営みで、私たちの乾いた心を潤すことでもあったのだ。

やわらかい日差しの中で、リハビリのような庭いじりをする私たち。そんな日々の中で、心に触れる歌をみつけた。

OneRepublicでSunshine。

youtu.be

 

前へ動き出そうとしてる庭と、日差しと音楽と。そんな風に特別な日々はさりげなく過ぎていこうとしている。

雨のプレイリストはバースデープレゼント

今週のお題「わたしのプレイリスト」

 

6月は私の誕生日。なのになぜか、あまり嬉しくない。

大人になれば、みんなそうなのかもしれないけれど、私の理由はそれだけではない。

恐らく、連休がないこと、そして、何より梅雨のじめじめとした季節が、誕生月なのに、気が乗らない原因になっていると思う。

 

そんな、誕生月に、「雨のプレイリスト」を作ってみようかな…? 軽い気持ちでSpotifyに曲を落とし込んでいった、雨の日に、部屋の中で聴きたい曲から、「雨」をテーマにした曲まで多種多様だ。完成したらきっと、雨の日が楽しくなるかしら?

出来上がったプレイリストを見て、今の自分の好みを網羅したいい感じのプレイリストができたと感じた。ここで何曲か紹介してみたいと思う。

 

まずはJojiの「Rain on me」。

youtu.be

 

雨の音が後ろに溶け込んだこの曲は、鬱々とした心情を美しく歌っている。どこか淡々とした悲しみは、雨に包まれた街並みを優しく包み込んでくれるような気がするのだ。

個人的には、雨が降った日のバスの中で、イヤフォン越しに聞いていたくなるようなそんな曲だ。

 

そしてKeshiの「WESTSIDE」。

youtu.be

恋人と離れたくない心情が甘いボーカルと相まって、なんともエモい曲である。

常に繊細な歌詞が特徴的なアーティストだが、温かみのあるファルセットが、心地よく心に響いてくる。雨の日、部屋の中でココアを飲みながら、この曲を聴いてみたくなる。

Dan + Shay, Justin Bieber で「10,000 Hours」は優しく心に語りかけてくるラブソング。

youtu.be

「雨が好き?」と問いかけるそのナチュラルな導入部から、曲が、雨の日によりそってくれている、と感じる。恋人に誓う深い愛。雨の日が幸せな気分になるって、いいじゃない?

 

締めくくりは、スガシカオで「June」。

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6月から、新しい街に越してきて、新生活を始める主人公のさりげない日常がナチュラルに綴られている爽やかな曲。

上手くいかないこともある、でも、夏はもうすぐ、そこ。だから、なんとか、やってみよう、そう語りかけてくれるこの曲は、嫌な気分をリセットして、梅雨の晴れ間を歩いてみたくなる気分にさせてくれる。

 

切ない恋の歌から、6月の前向きソングまで、気が付くと、「雨の日のプレイリスト」はバラエティーに富んだ、バースデープレゼントのようになった。

プレイリストを聞きながら、自分自身のエネルギーをチャージしていく、そんな6月も悪くないかもしれない。