Wake up Ladies! スケートカナダ観戦記(女子編)

なにしろ、スケートカナダにも、レベルの高い選手が目白押しなので、男子偏と、女子編を分けて綴らせていただくことになりました。それでは、行ってみよう!

 

まずは、三原舞依選手。紀平梨花選手の怪我から、代打出場となった今大会。急なことで、準備も大変だったと思います。けれども、最初のジャンプが決まった瞬間から、舞依ちゃんの動きがしなやかで、会場の空気を慈しんでいるのが伝わってきました。演目の「夢破れて」に合わせて、彼女は情熱的に舞いました。終わった後、感極まったのか、涙ぐんでいた時に、「ああ、舞依ちゃん、グランプリシリーズに戻ってこれた」と私も感極まってしまいました。一時期、大病を経験して、去年、シリーズに参戦した時、とても痩せていて、闘病生活が大変だったのだな、と感じて一試合一試合、祈る気持ちで見守っていました。2年ぶりの国際試合。カナダのお客さんも、舞依ちゃんを待っていてくれたのです。演技が終わった後の拍手や喝采、「Welcome back Mai」の横断幕。本当に、フィギュアスケートって素晴らしい競技だなって、舞依ちゃんの演技から、改めて感じることが出来ました。

 

期待の新人、河辺愛菜選手。ジャンプのミスはありましたが、大胆でシャープな演技はとても見ていて気持ちがいいですね。彼女はまだ若いけれど、かわいらしさも、大人っぽさも兼ね備えた選手のように感じます。これから、いろいろな試合を通して、彼女の色を見つけていってほしいとおもいました。

樋口新葉選手の「Your song」。初めてこのSPを拝見しましたが、今までのわかばちゃんの強いイメージとは少し違って、なんというか、優しさやたおやかさ、穏やかさがにじみ出ているプログラムだな~と思いました。ジャンプが決まるたびに新葉ちゃんの背後から、華が咲き誇っていくような。白のコスチュームのように清らかな水が流れていくような、そんな演技だったと思います。そういえば、女子選手で「Your song」で滑る選手って少なかったような気がします。すこし濁りのあるこの曲で、爽やかな印象で綺麗に滑る新しい解釈を新鮮に思いました。

 

ロシアのエース、カミラ・ワリエワ。いや~すごい貫録でしたね~。いつも思うのですが、彼女にできないことはないのではないのか、というくらいすべてが異次元レベル。冒頭のトリプルアクセルに始まり、技と技のつなぎがえぐいくらいに高難度。まだまだ、年齢の若い彼女がこの完成度ですから、年齢を重ねて、彼女の色がはっきりくっきり見えて来たときに、どんなドラマが待っているのか、楽しみで仕方がありません。

 

アメリカのアリサ・リウ。あんなに完璧なワリエワの後でも、自分を失うことがありませんでした。彼女を見ていると、スケートをするのが楽しくて仕方がないという、滑る喜びを感じます。怖いもの知らずのスタンスで試合に臨んでいけるのは、強みだと思います。ステップやスピンなど、曲を効果的に表現しているところも、少女から大人の女性へ変化していく途中なのかな~と感じました。このまま、大人の女性になっても、天真爛漫なアリサでいてほしいなどと、つい、よけいなおばちゃん心が頭をかすめました。

 

3位に入ったアリョーナ・コストルナヤ。ニックネームは「コス美」。コス美も負けてはいませんでしたね。トリプルアクセルを決めてからの演技の入り込み方は半端ありません。音楽の選び方が、若い選手の割にはどこか、影があるのはいつも気になっていましたが、彼女は美しさの中に影がある表現が気に入っているのかな?と感じたりします。「難しいジャンプ飛びました。ハイ終りました」という演技ではなく、最初から最後まで、彼女なりの起承転結が見えるところなど、若いのに成熟しているのだな~といつも感心してしまいます。

 

最終滑走、私のヴィーナス、エリザベータ・トゥクタミシェワ選手。タンゴの湿度を感じる音楽で、終始、大人の舞をきめてくれました。ついつい、リーザの劇場に心が動かされて見入ってしまいますが、冒頭のトリプルアクセルの完成度すごい。ここまで、演技が音楽と一体になっていても、大技のジャンプに迷いがないというところは尊敬に値します。気迫と貫録を兼ね備えた演技で2位に入りました。

 

と、終わってみると、女子も大混戦。グランプリシリーズは序盤から、高レベルの戦いが繰り広げられています。さすが、オリンピックシーズンですね。各選手の持ち味が、ここに来て覚醒している、という印象がありました。

「あの試合にエントリーしてれば、●●はメダルとれるのに?」ってそんな甘いものじゃないですよ!どの試合だって、それぞれの選手が真剣勝負で取り組んでいるのですから、その試合ごとに難しさは違うのだと思います。たらればはNO!NO! とにかく、目の前で繰り広げられてるすばらしいドラマと素晴らしい現地のお客さんに惜しみない拍手を送りたいですね。大会の後半に向けて、すばらしい感動にまた巡り合えますように。