祭りだ!祭りだ!トリノ祭りだ! グランプリシリーズトリノ大会観戦記

 

 

フィギュアスケートグランプリシリーズ第3弾、トリノ大会の戦い、火ぶたが切って落とされました。いやはや、今回もレベルの高い演技が続きましたね。

 

まずは、女子で個人的に心に触れた選手をご紹介。

 

三原舞依選手。前回のカナダ大会でも感じましたが、彼女の演技からは、真心のような温かいものを感じていました。今回は、その真摯な祈りの姿勢の他に、「もっと上げていける」という、強い意志と向上心を演技から感じることができました。ジャンプ、ステップ、スピン、更に研ぎ澄まされていて、終わるころには涙腺は緩みっぱなし。舞依ちゃん、あなたのスケートは、私がフィギュアスケートを応援する理由です。今までのシーズンベストを更新。まだまだ、これから、舞依ちゃん劇場が幕を開けるはず。フリーも目が離せません。

 

宮原知子選手。「小雀に捧げる歌」いつも、ソフトな印象を受けるプログラムですが、今回は、なんというスピード感でしょう!スケートのエッジ(刃)も傾けて滑っているところが多くて、絶対、バランスがとりにくいと思うんですよね。空高く羽ばたく鳥のような疾走感。このプログラムは宮原選手のファンの中でも人気の高いプログラム。彼女の代表作品と言っても過言ではありません。

 

今回、「お?」って思った選手はロシアのマイア・フロミフ選手。まだ若いロシアの娘さんは、大人っぽい曲でSPを滑り切りました。若い選手にありがちな、音楽がただのBGMになっている感じが全然しなくて、エレメンツを行いながら、曲の起承転結を演じ分け、曲を支配している感じがしました。プログラムで、どんな風に雰囲気を変えていくのか、これからが楽しみです。

 

1位につけたのはベルギーのルーナ・ヘンドリックス。もともと、美しいスケーティングに定評のある選手です。美しいトリプルルッツ・トリプルトーループのコンビネーションに惹きつけられ、美しいラブバラードに酔いしれて、キスアンドクライを見てみたら、お兄さんのヨリック・ヘンドリックスさんがいるではありませんか!美しい兄妹の絆をキスクラで見られて、長年のスケオタ、早朝にもかかわらず、変な声が出ました。

 

男子もなかなかの高レベルな戦い。なんと、上位4人まで90点台が出ているではありませんか。オリンピックシーズン、各国レベルが大幅にアップしているのを感じます。

 

7位の鍵山優真選手。要素抜けは痛いですが、なんというか、プログラムの雰囲気や、小粋な感じはうまくステップで伝わってくる気がしましたね。なかなか、うまくいかない中でも、個性を伝えられるところが、やはり、特別なセンスのあるスケーターです。ラスト、緊張する中、トリプルアクセルを決めたのはナイスファイト。フリープログラムは挑戦者のつもりで、思いっきり行ってもらいたいです。

 

6位の友野一希選手。イタリアで披露する「ニューシネマパラダイス」。のっけから、友野くんが「いい波」に乗れているのを感じました。力みとか迷いが消えていて、プログラムの中に、気持ちが入り込んでいたように思えました。どこか、優しさや切なさ、そして哀愁を感じさせてくれたのは、友野くん、いえ、友野選手がスケーターとして、成熟してきつつある証なのだと思います。

 

そして、4位のミハイル・コリヤダ選手。惜しくもジャンプのミスはありましたが、それすら、演技の一部と思わせてくれるくらい、SPの「くるみ割り人形」はドラマティック。途中、人形から、王子様へ姿を変えて、愛の表現を行うステップ、そして最後にはまた人形へと戻る硬さのあるムーブメント。見るたびに恋をしてしまうプログラムです。

 

2位のダニエル・グラスル選手。身軽にジャンプを飛ぶ選手ですね。長身でイケメン。そのうえ4回転ジャンプまで難なく決めてしまうとはなんとずるい。そりゃ、高得点出るよね~と感動することしきり。フリーもどこまで点数を伸ばしてくれるか楽しみです。

 

1位のボーヤン・ジン選手。帰ってきました! 私たちのボーヤン・ジン選手が帰ってきてくれました。美しい4ルッツ3トーループは健在。彼に限って言えば、壁がよけるべきというくらい、素晴らしいこのジャンプ。近年、なかなか思うように決まらず、悩んでいたのではないかと思うこともありました。けれども、高難度のジャンプを次々決めて、キレのある、スケーティングで、存在感を発揮してくれた、もう、それだけで、心が熱くなりました。やっぱり、かわいくて、かっこよくて、大胆なボーヤンが、みんな大好きなのです。

 

今回、4時にアラームをセットして、家族を起こさないようにこっそり観戦していましたが、何回か、「よっしゃああああ」と声を上げそうになるのをこらえるのが大変でした。そのくらい、今回の大会もドラマティックでお祭り状態。一人一人の選手のレベルアップを一つ一つの試合で見せてもらえることには、感謝しかありません。

また、フリーでも大きな祭りが待っていることでしょう。声を潜めて、興じたいと思います。