寒さの中に春のプロローグ 季節の移り変わりについて語ります

ご無沙汰しております。

最近、暖かくなってきたな~と、思ったら、気温が一気に冬に逆戻り!

体調を崩されていらっしゃる方も多いと思います。

1月、お正月が秒で過ぎ去り、また、日常が戻ってきている今日この頃。

私の最近の変化と言えば、年明けから散歩を始めたことですね。

最初は、家の周りからスタートして、少しずつ行動範囲を増やして、スーパーまで、とか、郵便局まで、とか、用事のついでに歩く距離を伸ばしていました。

歩くのを始めて思うことなのですが、季節の移り変わりって、歩くことですごく感じられるんですよね。

例えば、先週まで枯れ木だった枝の先端から、つぼみがほころんでいるのに気が付いたり、昼間の弱い日差しが、日を追うごとにギラギラしてきていたり。

季節はまだ冬なのに、春がウォーミングアップを始めているのを肌で感じると、気持ちが前向きになり、シャキッとします。

 

スーパーでも、売り場にも小さな変化が!

お正月が終わる直前の売り場に、恵方巻のポスターが貼られていたり、菜の花や、立派なトマトが売り場に並んだり。

まだまだ先だと思っていたのに、食卓にも季節の移り変わりが感じられるようになってきました。

 

春、といえば、思い出す光景があるのです。

春になると、私の街ではバスツアーが企画され、各東北の街にある桃の木通や、サクランボの花が咲く並木通りを歩いてめぐるということで、私たちは花の季節を満喫するのです。

色とりどりの花を愛でて、桃源郷のような光景と、道の駅で買うアイスクリーム。

ずっと、耐え忍んできた冬の重さを捨て、各東北の地が、花のイベントで活気づく。

そんな季節が、今から待ち遠しいですね。

散歩の道すがら、見かける桜の並木道。いつも、つぼみが大きく膨らんでいくのを指折り数えてカウントダウン。私の街でも、ひそやかに花のイベントを心待ちにしている散歩人たちが、きっといっぱいいるんだろうな、と、しみじみ歩きながら思う今日この頃です。

花、というキーワードから、最近の新曲からセレクトした曲をご紹介。

SurfacesでCherry Blossom

youtu.be

 

春って、幻想的で、夢を見ているような季節。

花が咲き誇るための種が、今、もうすぐ大地に芽吹く準備をしているのだと思うのです。春になったら、あちこちの街を歩いて、花の写真を撮ってみたいな。

貴方の街で色づく春を思って、今日も私は散歩道を歩くのです。

 

あの人は「言わないって、大事よ」と言った。 私たちの秘密のお話

 

 

「言わないって大事よ」。多分、何かの番組を見ていた時だと思う。その中の出演者の一人が、言い放った言葉がとても印象に残った。一瞬、心にグサッと突き刺さる。でも、その一方で思うのだ。「ああ、そうだな。大人ならば、心得ていなければいけない」と。

 

このところ、何を言って、何を言わないか、ということを折りに触れて、考えさせられることが、よくある。

 

今年の全日本フィギュア、世界選手権代表選考記者会見を見ていた時だった。ある選手が、「選考基準が良く分からない。あまり、嬉しくないけど…」と、言葉にしてしまったのだ。

一瞬、その場が凍り付いた。見ているこちら側も、ひんやりするものを感じた。

恐らく、その選手には、悪気はなかったのだ。恩師に対する思い、同門の同志に対する思い、その一心が、口をついて出てきてしまった。そういう風に思えた。

けれども、代表として選ばれたからには、彼は周りをよく見る必要があったのだ。初めて、代表に選ばれて、一緒に戦う選手たちが、すぐそばにいる。そのような場にあって、自分の強い想いだけを言葉にしてしまうのは、多くの人への配慮に欠けると言われてしまっても、仕方がなかった。「言わないって、大事よ」その言葉が、私の頭に、強く繰り返されていった。

 

私たちは、いつもどこかで、試されている、と感じる。何を言って、何を言わないかを。多くの人に届く言葉を選んで発言出来ているかを。時に、ふつふつ、と心の中に沸き上がる欲望や、ネガティブな思い。それらをねじ伏せて、説得力という刃を身に着けて、言葉は、ようやく人の心に届くことを学んでいく。

 

そうやって考えると、人の心には、「言わない」秘密がどのくらいあるのだろう。

私も、大人になって大分経つ。その間に、「これは墓場まで持っていこう」と、心に決めた思いの一つや二つは確実に存在している。

無邪気に自分の思っている言葉をダイレクトに伝えられていたのは、もう、昔のこと。

 

同時に、秘密を抱え続けているのも、なかなか、しんどいことではある。口にしてしまえば、関係性が粉々になっていくのは間違いない。けれど、心にじっとりと、黒いものが「ある」ことを感じるたびに、罪悪感が自分の中に漂うのだ。

私たちの秘密、エゴ、欲望、後悔が、いつか、浄化されていくために、みんな、じっと耐えて「今」があるのかもしれない。

 

秘密について、考えている内に、気になる曲を見つけた。

 

One Republicで「Secrets」。

youtu.be

 

絶頂期を過ぎたアーティストがやけになって全部、暴露してしまおうとする内容。

きっと、いろいろ、辛いことがあって、うまくいかないことが重なった果ての境地なのかな?と思うが、やはり、この荒れた心持ちと、そこまで追い詰められていってしまう人の悲哀をそこはかとなく感じる。

こういう状態で、自分だったら、どうするかな? 暴露してしまえば、お金が舞い込む状況なのかもしれないけど…

 

やっぱり、私の中には、「言わないって、大事よ」という言葉が頭の中に浮かんでしまうのだ。飲みこんだ言葉の分だけ、人に対する思いやりや配慮が見についていくような気がするから。

 

秘密の歌についてもう一曲。自分の心にフィットする曲を見つけた。

宇多田ヒカルで「Can You Keep A secret?」

youtu.be

 

秘密に振り回されて、もがきながらも、相手を思う気持ちから問いかける「Can You Keep A secret?」。一瞬、自分が試されているみたいだな、と感じる。

 

何を言って、何を言わないか、そのバランスがもう少しうまくつかめるように、もっと成長していけるように。新年に期待を込めてみる。ヒントをくれた番組のあの人に、感謝の気持ちを抱えている、今日、この頃なのだ。

今年もお世話になりました… 2022年を振り返ります…

もう、仕事納めの方も結構いらっしゃいますよね。

今頃は、帰省ラッシュに、大掃除、新年おせちの買い出しに忙しくしていらっしゃる時期かと思われます。みなさん、元気にしていますか?

 

私は午前中に買い出しに行きました。おせちのコーナーやオードブルの周りに人がまばらに並んでいて、いつもより、静かなスーパーに、第九のにぎにぎしい音楽が流れていたのが、妙に印象的でしたね。

 

今年一年、色々なことがありました。

北京オリンピックでは、しのぎを削ってきた選手たちの真剣勝負に心震わされ、

春のアイスショーのテーマ「Journey」には、昨今、コロナによって、遠出をすることがなかなか出来ずにいる中、家にいながら、世界中を旅しているようなエンターテインメントの世界に心が弾んでいました。

 

長年、闘病生活を続けていた父が、真夏に亡くなり、大きな喪失感も経験。

遺骨となってしまった父を抱えて、納骨へ向かう、新幹線の中、せめて、グランクロスの座席を予約し、「最後の家族旅行、楽しんでくれているかな?」と、骨壺を抱えながら見た、窓の景色が今でも心に残っています。

 

少しずつ、コロナの状況に落ち着きも見え、人の流れも活発になってきている年末。

クリスマスのイルミネーションに集う人混みや、空港の出国ラッシュに、なんだか感慨深いものを感じる今日この頃。

あちこちのテレビやラジオの番組で、「年内最後です。良いお年を」の声が聞かれ、

「今年もいろいろあったな~」と、日々を過ごすこの瞬間が、喪失感の中でも、「みんな、頑張っているんだ」って心癒される時間になっているのを感じます。

今年を締めくくる曲、何があるかな~と探して見たら、心にビビッときた曲が見つかりましたので、シェアさせて頂きます。

 Walk off the Earth (Ft. Lukas Graham)でLove You Right 。

 

youtu.be

 

年末になると、聞き覚えのあるこのメロディとこのリズム。歌詞も人を愛する真っすぐさに満ち溢れた温かい曲です。一年の締めくくり、エモーショナルに彩ってくれそうなので、選曲しました。

 

このブログを何となく、読んでくださった皆様、ツイッターで温かいお言葉をかけて下さった皆様、一年間、本当にありがとうございました。

来年、少しずつ前に歩を進め、一日一日を大切にできる一年にしていけたら、と思っています。

 

どうか、皆様にとっても、素敵な一年が待っていますように。

来年、またお会いできることを楽しみにしています。

 

それぞれのクリスマスの断片 全日本フィギュア2022女子シングル

 

 

今年もやってきました。全日本フィギュア2022。聖夜に行われる負けられない戦い。忙しさと、疲れの中、あまり、好きなことに気持ちが向かない日々が続いていましたが、今年も、熱戦を繰り広げた選手たちによって気持ちが上向きに引っ張り上げられました。

印象に残った女子選手の演技をご紹介したいと思います。

 

大庭雅選手

社会人スケーターの大庭雅選手。SP Send In The Clownsで、切れ味鋭い3回転ジャンプや、シャープなスピンを披露。このシーズンの間に、プログラムが熟成され、スケーティングがブラッシュアップされているのが本当にすごいことだと思います。最後まで微笑みを絶やさず、滑る喜びに満ち溢れている雅ちゃんを毎年、全日本で応援できるのは、喜びです。

フリー Aesthetic、安藤美姫さんとの共作で振付にも挑戦。ひたむきに祈りをささげているような、繊細で成熟していて、名前の通り、「雅なスケーティング」で会場を魅了。見ていて温かい気持ちになる演技だなと感じました。

 

 

千葉萌音選手

あの羽生結弦選手と同じ東北高校の17歳。SPのシンドラーのリストを見て、驚愕。繊細な音を一つ一つ拾い、シームレスに情感たっぷりに演じていく姿は、とてもジュニア選手とは思えませんでした。ジャンプの前に無駄な動きが無く、スケーティングもスーッと伸びていく感じには、基本に忠実で素直さが感じられ、好印象を持ちました。

フリー、バタフライラバーズ、少し緊張したためか、冒頭のルッツジャンプ転倒。それでも、ミスを引きずることなく、高難度のジャンプをシームレスに決めていき、総合5位。

間違いなく彼女は、これから頭角を現していくな、と感じた今回の試合。伸びしろ十分に広がっていく世界を見詰めていきたくなりました。

 

三原舞依選手

SP戦場のメリークリスマス。自身の人生のようだと評するこの演目。見ていると、平和への祈りだったり、強い決意だったり、いろんな舞依ちゃんが見えてくるようだと思いました。ジャンプをすべて難なく決めて、ハイライトのシットスピンで高らかに天を掴むように手を上げる姿はこのプログラムに前向きな力強さを際立たせるようで、見入ってしまいました。フリー恋は魔術師。緊張もあったとは思いますが、前半うまくはまらなかったコンビネーションを後半にリカバリーと、冷静な姿勢が垣間見えました。いつも思うことですが、舞依ちゃんの滑りは真心に溢れていて、心をふっと溶かしてくれるような優しさと慈愛に満ち溢れています。常に人への感謝を忘れない姿勢が演技に生きているのだと思いました。

 

坂本花織選手

SPジャネットジャクソンメドレー。ダイナミックでパワフルなかおちゃんの演技に人さじ、媚びない色香を感じました。直線的な動きが少なくて、常に上半身、下半身、リズムの取り方が複雑な振付の中で、ジャンプも高さがあって見ごたえ抜群。見ていて楽しくなるようなプログラムです。

フリー Elastic Heart。高レベルな演技が、連続し、少しのミスも許されない最終滑走。しかしその中で、かおちゃんは落ち着いていて、スピードがあって高さのあるジャンプを次々にきめていきました。歩幅の少ないスケーティングでトップスピードに持っていく技術力で、演技全体が途切れない印象でした。去年のかおちゃんからも強い女性という姿を感じてはいましたが、今年は柔軟な筋肉の動かし方や、音の複雑な演じ分けも加わって、更に演技に成熟度が増したと思います。終わってみれば、総合一位、完全優勝を果たしました。

 

時はクリスマス。ケーキを焼いたり、仕事に勤しんだり、思い思いの時間の中で、私たちは、試合に臨む選手たちの姿を目に焼き付け続けました。

違う立場で、違う場所で、でも同じ試合を応援出来ている一体感は私に特別な喜びを運んできてくれたと、思います。

 

一瞬だけれども尊い、クリスマスの断片を、今年も記憶に刻んで、残りの年末の日々をエネルギーチャージして過ごしていきたいと思います。

 

選手の皆さん、応援の皆さん、お疲れ様でした。そして、メリークリスマス!

クリスマスの欠片たち 私の定番クリスマスソング集

師走の空の下、みなさん、お元気ですか? 毎年、忙しく、あわただしく過ぎていくこの季節、必ずと言っていいほど、巷には、クリスマスソングが流れ始めますよね。

ついてないことがあった時、冷たい風の下でも、クリスマスソングが流れていると、北風すらも澄み切って気持ちよく感じることができるような気がします。

今年もやってまいりました。My クリスマスソング特集。毎年、なんとなく聴いている曲から、最近お気に入りになった曲まで、定番といってもよいくらいお気に入りのクリスマスソングを、ご紹介していきたいと思います。

 

まずは、最近のお気に入りアーティストの1曲からご紹介。

ベニーシングス、Clara Hill、SK Office Choirで「On Christmas Morning」。

open.spotify.com

 

この曲が好きになったのは、ほんの一年前の事。ある洋服屋さんで、何気なく洋服を見ていたクリスマスシーズンに、ちょうど、BGMでかかっていたのです。

静かで、心が温まるようなメロディーと歌声。店内の落ち着いいた雰囲気にこの曲がマッチしていて、しみじみといいムードになったのを覚えています。

ベニーシングスさんの曲は、他にも、どこか懐かしさを運んできてくれるようなキャッチ―な楽曲が多く、個人的に推しているアーティストさんでした。

好きなアーティストさんのクリスマスソングってそれだけで気分が盛り上がりますよね。

 

お次にぐっと、心深くまで降りてくるようなクリスマスソングをお届け。

Rina Sawayamaで「This Time Last Year」。

youtu.be

 

静かなピアノと、彼女の語りかけるボーカルが、外の雪景色を想像させる曲。

歌詞の内容は切ないですが、綺麗な楽曲で、聖なる夜にはぴったりです。

パーティーが終わった夜とかに聞いていたい曲ですね。

 

少し、個性的なセレクトですが、スワエ・リーのクリスマスソングもいい曲ですね。

youtu.be

 

森の中、ピアノの弾き語り。ひたむきで、静かな気持ちが伝わってくる楽曲です。

普段、ビートが効いた曲のイメージが強かったのですが、意外な一面を魅せてくれていると感じて、お気に入りになりました。

ここで、大定番のクリスマスソングを推しがカバーしていたので、ご紹介。

Lukas Grahamの「Last Christmas」は期待を裏切りません。

youtu.be

ワムのバージョンも爽やかで好きなのですが、どこか、楽しいだけではない陰りも感じさせる、Lukas。私は、おそらく、彼の声が好きなのだと思います。

やはり、定番のクリスマスソングもこの時期聴きたくなりますよね。

クリスマスソングにはいろいろな色が見えてきます。

悲しげだったり、華やかだったり、冬空の下、皆さんの数だけ、いろんなクリスマスが存在しますよね。

 

最後にお届けするのは、ちょうど、家で聴きたくなるような楽曲。Dan + Shayで「Take Me Home For Christmas」。

youtu.be

クリスマスに家に連れてって、大好きな人が集まって、その人を形作っている、クリスマスの原風景に触れられたら、きっと、幸せですよね。

パーティーもいいけど、聖なる夜にちょっとだけ早く家に帰って、キャンドルをともしたり、小ぶりなクリスマスツリーを用意するだけでも、気分はなんとなく、ハッピークリスマスに近づけると思います。

 

今年は、静かなクリスマスになるだろうな、と思いますが、窓に、真っ赤なポインセチアだけは用意しようね、と家族と相談しています。

クリスマス気分に浸りながら、新しい年の準備を徐々に始めているこの時期に、定番のクリスマスソングが華を添えてくれますように。。。

それぞれの空にMerry Christmas!

 

 

 

 

 

朝から蒸し野菜

 

 

あるドラッグクイーンのライブ配信を見ていた。

多分、友達に進められたYoutuberだったと思う。

彼女は、聡明で、独自の人生哲学を持ち、時々下品なジョークがウィットに富んでいる魅力的な人だった。

そんな彼女が、ライブ配信中に、自らが作った蒸し野菜をほおばりながら、こう言ったのだ。

「毎日、忙しいけど、忙しい時こそ、野菜を摂らなきゃって、思っているの。だってさ、誰も助けてくれないじゃない?」

普段、明るく、ユーモアたっぷりにふるまっている彼女の、張り詰めた部分を垣間見た気がした。そしてそれは、そのまま、私が持っている張り詰めたものに通じる気がして、一瞬、ハッとさせられた。

 

父を亡くして、早3か月。この間、納骨も無事に済ませることができた。東京から戻って数日後、母の体調が悪化した。

検査を何日も行い、緊張と疲労が一日中、私たちの間に漂った。苦しそうな母にしてあげられることはあまりなく、気持ちはどんどん固くなるばかり。普段は私を元気にしてくれるスポーツも、音楽も、なかなか、しみ込んでこなかった。

 

一日に何度か、食事作りのために台所に立つ。その時だけは、ふいに心をリセットすることができた。ただ、肉や野菜を切り刻む。鍋に放り込んでいく。そうやって、何もない所から、何らかの料理が出来上がっていく。そのことは、自分にとって、生産的な時間であると共に、余分な雑念を振り払うことが出来る瞬間だったのだ。

卵を泡立てている間に心は撹拌されていき、お味噌を溶いている間に感情が溶けていく。そうやって、出来上がった料理を母が美味しいと言ってくれることが、自分を労ってくれていたように思う。

 

あの時のドラッグクイーンも、人生で迷ったり、家族とのことで、悩んだり、いろいろと抱えていたのだろうか。それでも、歯を食いしばって、自分のために手間をかけた食事を心がける彼女を見て、自分も見習いたいと思った翌日、私は朝から、蒸し野菜を作っていた。

 

しばらくは、蒸し野菜をほおばりながら、自分で自分と家族を労う日々を過ごしていくだろう。慰めと、優しさと、感謝の味が混ざった、蒸し野菜が、今日も誰かの食卓を救っていく。

美しい夢よ、覚めないで… フィギュアスケートグランプリシリーズ スケートアメリカ男子シングルフリー

戦いの始まりから一夜明けた今日。早くも王者の決まった試合がありました。

フィギュアスケートグランプリシリーズ、スケートアメリカ男子シングル。フリースケーティングが行われ、熱戦が繰り広げられたのです。

果たして、勝利の女神はどのスケーターにほほ笑んだのでしょうか。早速、印象に残った選手の模様を綴っていきたいとおもいます。

 

島田高志郎選手

まさかの最下位スタートから始まったフリーのプログラムは、チャップリンメドレー。

序盤は硬さも見えたのですが、音楽が進んでいくにつれ、自然にチャップリンの世界を氷に描いていきました。動きの一つ一つに無駄がなく、演技全体がつながっていて、チャップリンの夢のある世界や悲哀が、なんとなくムードで伝わってくるような。プログラム全体にジャンプがうまく溶け込んで、終わるころには、ミスを忘れていました。FP高得点をたたき出し、順位も大幅にUPしました。

 

三宅星南選手

前から思っていたのですが、星南選手は白シャツが似合うなあと感じます。どことなく、ノーブルな雰囲気を漂わせている彼は、タイタニックのジャックに、自然になり切っているように見えました。若干、ミスが目立ってはいましたが、シーズンの前半。ここから、ジャンプのタイミングが合ってくれば、とてもドラマティックなプログラムになるのではないかと、思います。

 

イリア・マリニン選手。

冒頭、4回転アクセルを難なく着氷。いったい、何が起こったのか、回る軸が細く、3回転に見えてしまうほど、スピーディーに高難度ジャンプを決めると、そこからは、完璧にマリニンくんの世界。それほど助走をつけずに、4回転のジャンプや、3回転半のシークエンスや。もう、どういうこと? 技のデパート状態に口あんぐりです。しかし、マリニンくん、ジャンプだけではなく、スケーティングでも、マリニンくんの雰囲気を客席に伝えていたと思います。大胆不敵で、野心家で、ストイックな若者が成長し、どのように羽化していくのか、もう、今から楽しみでなりません。終わってみれば、総合点300点に迫る勢い。逆転優勝の演技となりました。

 

チャ・ジュンファン選手

007のナンバーで、スリリングな色を全面的に出したプログラム。いくつか、ミスはありましたが、全体の流れがシームレス。技と技のつなぎにも微妙に凝ったものが多く、全体的な難易度の高さを随所にちりばめて、それが音楽と融合していました。総合的に魅せる力は、もしかしたら、出場選手の中で一番だったかなと、いう気がしています。

終わってみれば、3位に食い込む熱演を見せてくれました。

 

三浦佳生選手

冒頭の4回転ループ、惜しくも転倒してしまいましたが、あともう少しのところまで、来ていると感じました。全体的にスピードがあり、必死でひたむきな感じが、何かを追い求めているようで、そのまま、演じているビーストに重なるような気がしました。

佳生選手の視線の先に、美女が見えるようで、最初から最後まで、見所満載。

一つ順位を下げましたが、大健闘の銀メダル。次の試合の弾みになるような演技に思えました。

 

シーズン序盤ですが、この熱気。熱戦はやはり、フィギュアシーズンに突入したことを教えてくれますね。今回、思ったことなのですが、アメリカのお客さん。とても優しかったです。どの選手の素晴らしい所も、きちんと見て、大歓声でたたえてくれて、こういうムードの中で試合ができるって幸せだな、と思いました。

まだまだ、戦いは続きますが、夢を見ているような余韻に今しばらく浸りたいと思います。