名曲の雨を降らして… 推しのリリースラッシュ徒然日記

 

 

6月も、もう中旬になりましたね。そろそろ梅雨入りした地域も出てきているのではないでしょうか。5月から引き続き、曇りや雨の日ばかりで、今年も鬱々とした気候に悩まされている方、多いのではないでしょうか。

私も、寒くなったり暑くなったりで体調を崩しそうになりながらも、なんとか日々をこなしておりました。

そんな中、最近になって、私が推しているアーティストさんの新曲が次々とリリース! どの曲も名曲ぞろい。早速、曲を聴いた感動をシェアしたいと思います。

 

まずは、NYを中心に活動する神戸出身のシンガーソングライターRei BrownでJojiと共作の「Thinking Bout you」。

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Rei brownは、私がブログで何回かご紹介させていただいたアーティストJojiの幼い頃からの友達で、二人は過去に何度か共作で曲を発表しています。ソフトで美しい歌声と、心地の良いメロディー、そして甘く、愛することに希望を持たせてくれるような歌詞が特徴的で、最近、活躍の幅を広げています。

今回のJojiとのコラボ、二人の声質がとてもよく似ていますが、歌詞は相反するムードをかもしだしています。光と影のようなフレーズが交錯しながら、思いを伝えたい相手に必死に呼びかけている、そんなイメージの切ないラブソング。公式のMVでは、壮大な宇宙からみた地球の映像が映し出されて、歌詞に表れる「真夜中に空を見上げたら、 君のことを想っていると分かって」という、強い思いを強調しているかのようです。別れるぎりぎりまで迷いや葛藤があったのでしょうか。やっとの思いで離れ離れになった後でも、相手を思い、相手を感じているのがダイレクトに伝わってきました。現実的な距離と近づこうとする心の距離が一つテーマになっているような気がします。

 

続いて、88risingで異彩を放つ女性ボーカリストと言えば、インドネシア出身のNiki、曲は「Before」。

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別れてしまった恋人に何年後かに数日間だけ会いに行く女性のストーリー。まだ、気持ちはあるけれど、煮え切らない元恋人。次の彼女候補の女友達もいるみたい。数日間のスリリングな葛藤。だけど、もう、付き合っていたあの頃には戻れないみたい… 揺れ動く女性の気持ちがリアルに伝わってくる大人のラブソングです。ここでも、すぐそばにいるのにすれ違う、相手との距離がテーマになっていますね。MVの作り方も、歌詞の世界をそのままに「歯磨きしている私を抱き寄せる彼」がそのまま出てきたりして、映像と歌の世界がシンクロしています。好きな気持ちが残っていて、そういったものをすべて清算して前に進んでいくことって、簡単なことじゃありませんよね。できればやり直したい、そう思っても、時間が経って、自分が変わって、相手も変わっていってしまう。ついこの間まであった「確かなもの」、失っていった時間が「Before」に込められていて、秋口に聴くと、心が締め付けられそうになると思います。曲調は穏やかで少し刺激を抑えたナンバー。優し気なボーカルが、静かに恋を諦める女性の姿を象徴するかのようでした。

 

そして、2年の沈黙を破ってあの男が帰ってきました。そう、私のブログで何回も紹介させていただいている88risingの看板スター Joji。曲は「Glimpse Of Us」。果たして、どのようなナンバーなのかと期待に心震えながら見たMV。

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序盤の美しく透き通るようなコーラスで、すでに心をつかまれてしまいました。描かれていたのは「彼女の腕の中で“君”のことを想う男の姿」。あまりにもまっすぐに痛みを美しく表現している魅惑の歌声。そして、MVの内容はその曲調とは真逆の不穏な世界観。非行に走る若者から見えてくる世界が断片的に映し出されます。何度か現れる暴力のシーン。荒れた若者の暮らし。その合間には川の岩場でくつろぐ彼ら。暴力的な彼らが時折見せる「人間らしさ」。恋人に送っているらしき「I miss you」のメッセージ。道路沿いの壁にスプレーで書かれた「Help」の文字。

 

世界中のどこにでも広がっている貧困や暴力や最下層に追いやられる人々の苦しみや痛み。そして、花火が舞い上がり、最後には、燃やし尽くされる車と座り込む若者。この世界中の不穏な空気をまるで切り取っているかのような世界に美しい旋律が鎮魂歌のように寄り添います。「Glimpse」という単語には「垣間見える」という意味があります。「Glimpse Of Us」は「僕らに垣間見えるもの」ということになるでしょうか。「埋められない距離」を抱えた恋人たちの間に垣間見えるもの。MVのギャングたちのあいだにふと垣間見えるもの。その「垣間見えるもの」を現代に生きる私たちにリアルに示しているのがこのMVと曲だとしたら、Jojiはなんと、深いテーマを新曲にもってきたのでしょうか。

 

すごくショッキングなMVなのに、つい見てしまうのは、悲しみをリアルに映し出しているからでしょう。入り込んでくる雑音までが、この曲の効果音として的確に機能している、全てが巧みに計算されつくしているのを感じます。

重いテーマなのになぜか、今を生きる私には「解毒剤」のように感じられ、この曲を何度もリピートしてしまいました。賛否両論あるかもしれませんが、今年の私の中で、ナンバー1、来てしまったようです。改めて、Jojiのすごさを思い知りました。

 

どの曲からも、埋められない距離の中でもがく人々が見えて、それはそのまま、昨今の空気を表しているのかと思うほどです。

ここから、推し達は、ツアーが開催され、世界各地を回ることになります。どうか、歌声を待っている私たちに、名曲という雨をたくさん降らせてほしい。そう思うようなリリースラッシュでした。

今度新曲が届いたときには、どのような世界をご紹介できるでしょうか。それまで、どうか、お元気で。