冬と計算ドリルのおはなし

冬が近づくと、決まって調子が悪くなる。なんとなく元気が出なかったり、なんとなく、億劫になったり。

夏の間はあんなに世界はキラキラとしていて、本当になんでも出来そうだったのに。

今、私の心の中から、モチベの欠片がぽろぽろと零れ落ちているような気分になる。

そんな時に、ちょっとだけ気分転換になったことがある。

小学生向けの計算ドリルだ。

ページをめくり、タイマーをセットして、次々に問題を解いていく。その時にちょっとだけ、自分の心にエネルギーが溜まっていく気がする。

数字って、美しいな。計算と向き合っていると、そんなことを感じるようになった。

私たちの世界は多くの数字が取り巻いている。

テストの点数、競技の記録、そして、仕事の評価。

ありとあらゆるものが数字でデータベース化され、私たちを形作っていく。

数字はとても無駄がなく、そして時々とても残酷だ。

数日前、私がお気に入りのスケーターの試合があった。

ずっと怪我や靴の故障に悩まされた彼。そんな彼が繰り広げる演技は、それまでの彼が築き上げてきたテクニックと表現力が見事に調和されていたものだった。

軽やかな四回転、音楽の中に沁みこんでいく氷を削る音、哀愁が漂うパフォーマンス。

弾き出したシーズンベストを見つめながら、安堵する彼を見て、この点数を積み重ねるために彼の重ねた努力の重さを思った。

今日も今日とて、計算ドリルに精を出す。昨日よりは少し、自分の中にモチベが生まれているのを感じながら。少しずつ、自分のベストを積み重ねて、少しずつ成功体験を積み重ねていくことで、心の蓋をこじ開けていけると、いいな。

私のスランプを救ってくれた推しの演技、その感動だけは私の中で、数値化できたりは、しないんだけどね。