愛とは?幸せとは?心に残るElton Johnプログラムについて

数日前、たまたまSpotifyのおすすめリストを再生していたら、なぜか、心にひっかかる曲を見つけました。そのボーカルは温かくそして切なく、感傷的な心を包み込むようで、早速調べてみることにしました。
曲名は「Cold Heart」Elton Johnと歌姫Dua Lipaのデュエットソングです。

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メロディーはとても懐かしいディスコ調。ついつい自然に踊り出したくなる感じです。しかし、歌詞は、というと。恋人同士の間に垣間見える、微妙なずれ、「冷えきった心」という表現がなんとも不穏です。果たして、この恋の結末は…様々なことを考えさせられる歌でした。
 そしてこの曲でエルトン・ジョンの歌声に魅了された私は、フィギュアスケートでエルトンの魅力はどのように引き出されているのか、研究してみたくなりました。
今回は「心に残るエルトン・ジョンプロ」について語りたいと思います。

エルトン・ジョンというと、代表的なのは、「Your song」ですよね。

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さりげなく相手に愛を伝える甘い歌詞。プロポーズソングと言っても過言ではないでしょう。
ペアスケーターで2015-2016シーズンにこの曲をプログラムに選んだのはカナダのメーガン・デュハメル、エリック・ラドフォード組でした。既存のペアと少し違うこの二人の持ち味は、パワフルな女性と繊細な男性という組み合わせ。難易度の高いジャンプを確実にきめ、リフトも鮮やかなこの二人は、柔らかい愛の歌に、新鮮な愛の世界を運んできました。お互いの持ち味を信頼関係により磨いてきたことが、演技から伺えます。後のオリンピック銅メダルに輝く前に少しずつ、才能を開花させていた跡をかんじさせる演技でした。
フランスの男子シングルスケーター、ロマン・ポンサールは2017-2018のフリープログラムにyour songを取り入れています。長身でイケメンなこのスケーターは、大人の男性のエレガントさをスケートで表すことを得意としています。決まるときれいな4回転。深いエッジさばきと柔らかいツイヅルは、まるでパートナーと踊っているように見えました。この曲の優しさや、深さを自然に表現できていて、スケートを通して彼の優雅さを堪能できました。

ちなみにエキシビションナンバーですが、以前、高橋成美選手とパートナーを組んでいた、カナダのマーヴィン・トラン選手は「Tiny Dancer」という曲を2013年に選んでいます。

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この曲も、相手を優しく思いやる可愛らしい歌ですね。エルトン・ジョンの深い慈愛に満ちた歌声が心を満たしてくれます。マーヴィンは、高橋さんと組んでいた時から、パートナーを思いやる優しいスケーティングが持ち味でした。新しいパートナーと挑んだ「Tiny Dancer」も、そんなマーヴィンの思いやりを感じるナンバーでした。


エルトン・ジョンといえば、自伝的映画「ロケットマン」が話題になりましたが、このロケットマンで2019-2020シーズンに注目を集めたのは、アメリカのスケーター、ネイサン・チェン。

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歌詞やMVから感じられたのは圧倒的な孤独と痛み。それを若いネイサンがどうやって表現するのか、想像できませんでした。でも、一度演技を見たときに、こう思ったんです。この演技、ミスがあっても見ていたくなるって。それほどに、ネイサンは音楽を自分のものにしていました。身軽な身のこなし、鋭角的なムーブメント。ジャンプを決める度に、音楽が彼自身にフィットしていて、ワイルドな貫禄が増幅していくような演技は、自然に歓声を呼び込みました。独特の暗い情念、リズムと戯れる感覚がこの曲にかっちりはまっていて、とても印象的でした。きっとこういう現代的なプログラムを彼は気に入っているのでしょうね。

 

意外なことに、エルトン・ジョンをプログラムに選んでいるスケーター、そんなに多くないのです。名曲が多いアーティストなのですが、不思議です。これから、もっと、エルトン・ジョンの曲で滑るスケーターを見たくなりますね。
フィギュアスケートを通して、触れたエルトン・ジョンの世界。彼は愛や孤独など、人生のテーマを深い言葉で語りかけるアーティストなのだと感じました。これを機に、もっと、エルトン・ジョンの音楽を聞いてみたいと思います。