ロシアより愛をこめて グランプリシリーズ ロステレコム大会 男子フリー観戦記

 

 

フィギュアスケートグランプリシリーズロシア大会、男子フリーが先ほど行われました。

ショートプログラム一位で折り返した友野一希選手。果たして、フリーではどのような演技を見せてくれるのか。友野くんファンの私、実は朝から緊張していました。そわそわ、心ここにあらずで、気が気じゃなかったのです。リンクに立てばそこは、選手一人の空間。私たちファンは応援することしかできません。

選手たちがリンクに呼ばれ、名前がコールされたとき、友野くんは柔らかないい表情でほほ笑んでいました。ショートプログラムの結果から、本日は最終滑走で臨まなければいけない状況。とてもプレッシャーがかかっていたはずです。でも、友野くんは、笑顔で歓声に応えていました。

友野くんのフリープログラム「Lala land」。自身が強い思い入れを抱いて選んだナンバーです。冒頭の四回転3回転がきまった瞬間。自分の中で変な声が出ました。スピードに乗って回転のキレイな流れのあるジャンプ。とても軽やかに降りました。

その後はもう、スリリングな展開。着氷が乱れたり、転倒もあったりしましたが、ミスを最小限に抑えると、そこから先に待っていたのはスピードに乗った美しいステップとスピン。友野くんはもともと、スピンやステップに定評のある選手です。ですが、今回は今までの友野くん史上最も美しいスピンとステップで心を掴まれました。会場からは、自然と沸き上がる歓声。楽しく、踊る喜びに満ち溢れ、躍動感のある、友野くんの物語が、リンクに綴られていきました。演技を終えた後、コーチの元へ戻った友野くん。「これが今の僕の実力」とぽつりとつぶやきました。あれだけのプレッシャーの中で、ここまで、心が震える演技を見せてくれたのに。でも、その言葉からはなんとなく、前向きなニュアンスを感じ取ることができました。これから、一歩一歩前に進んでいこうとしている、そういうストイックな姿勢がその言葉に表れていたと思います。

得点は、僅差で3位。表彰台を確定させました。ファンとしては、もっと、点が出てほしかった。私の中では金メダルでした。以前にも、このロシアの地で、銅メダルを獲得した友野くん。同じ順位でも、今回は意味が違う気がします。今までよりも一際レベルアップした演技をショート・フリー共に表現できました。今後、更に友野くんの世界は広がっていくのではないかと思います。次につながる結果を残せたロシア大会になりました。

2位に入ったのは、ミハイル・コリヤダ選手。ショートプログラムでは硬さがあり、得点が伸びませんでした。フリープログラムでも、ミスはありましたが、後半に行くに従って、ジャンプも落ち着き、「シンドラーのリスト」の世界に自然に惹きこまれていきました。グランプリファイナル進出を決めたコリヤダ選手。アメリカのジェイソン・ブラウン選手との「シンドラー対決」の行方も非常に気になります。

今回のロシア大会。テレビ放送もありました。残念だな、と思ったのは、「不必要な煽りの多さ」。どうして、一人ひとり、公平に淡々と紹介することができないのでしょうか。私たちが見たいのは「選手の演技」なのです。どうせ、煽るのであれば、その試合に出ていない選手の煽りではなく、その試合で活躍した選手一人ひとりに平等にスポットライトをあてて頂きたい。本当にそのように思いました。

さて、明日は、選手の違った一面が見える、エキシビションです。今回の友野くんのエキシビションナンバーは、とても個性的で、アイデア満載のプログラムなので、多くの人に見てもらえたらいいな、と思います。

ドキドキしたり、ひやひやしたり、結果に納得のいかないこともあるけれど、フィギュアスケートは本当にドラマティックで目が離せない競技だと思います。ロシアの地で、戦い抜いた選手たち、忘れられない瞬間をありがとうございました。明日も一心に楽しみたいと思います。東日本より愛をこめて。