過去に繋がれ、未来を飛び越えろ! ~フィギュアスケートと洋楽について~妄想トーク

 数日前、ずっと頭の中をある洋楽のメロディーが鳴り響いて離れませんでした。それは、とても特徴的なメロディーで、誰もがすぐに聞いたことがあると感じられるような普遍的な曲。そして、不思議とその曲に合わせて、フィギュアスケーターが滑りだす絵が頭の中に浮かんできたのです。でも、誰がその曲で滑っていて、どんなプログラムだったのか、思い出せません。絶対その曲で、だれか滑っているはず、そう考えた私は、ツイッターでその曲について、話題にしてみました。すると、あるフォロワーさんが、その曲で滑っているスケーターについて教えてくれたのでした。すべてはそこから始まります。

 

曲名は「Stay」、伝説的な歌姫、Rihanna - Stay ft. Mikky Ekko 2012年の名曲です。

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滑っていたスケーターはフランス人スケーター、マエ・ベレニス・メイテ。パワフルなジャンプとスケーティングが持ち味です。しっとりとした名曲で彼女は、バネのあるきびきびとしたムーブメントと、流れのあるスケーティングで「秘めた力強さ」を感じさせる演技を見せてくれました。振付はオリンピック金メダリストアイスダンサー、チャーリー・ホワイト。すごく曲にハマって滑っているマエちゃんが素敵で、見入っているうちにふと、「この曲を日本人が滑ったら、どんな風になるのだろう?」という妄想が、頭をよぎりました。

 

そう、今回は、「洋楽を日本人スケーターが滑ってみたら」という、私の妄想トークを皆様にお届けできればと、思います。

 

冒頭ご紹介した、Rihannaのこの曲。「あなたにそばにいてほしい」という切ない女性の願いを、パワフルに歌い上げているところが、魅力ですね。相反するイメージを両方、表現できるのは誰か考えた時、紀平梨花選手の鮮やかなトリプルジャンプが自然と頭に浮かんできました。紀平選手はかっこいいプログラムも、キレイなプログラムも圧倒的なテクニックで、鮮やかに滑り切るところが持ち味です。そして、彼女の一つ一つ、細やかに音を捉える天性のリズム感を考えた時に、この大人のラブバラードを、メリハリを利かせながら滑る梨花ちゃんが見たい!という風に感じてしまいました。いつか、ショーナンバーでもいいから滑ってくれないかな~などと、今から期待してしまいます。

 

  次にご紹介する曲名は、88rising所属。インドネシア出身の期待のシンガーソングライター、Nikiの「Lose」。

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  南国生まれの彼女の歌声は、どこか開放的で、なおかつ、憂いがあり、とても、セクシー。この曲も、切ない愛がテーマになっている曲ですね。

この曲で滑ってほしいな、と感じているのは、世界選手権銀メダルに輝いたことのある、20歳の樋口新葉(ひぐちわかば)選手。ジャンプの入りも、ステップワークもかなりエグイぐらいのスピードが持ち味の選手。そうでありながら、曲の見せ場で、この魅せ方が正解というのがよく分かっているのでは、というほど、表情や所作にスキがありません。基本的にバラードの曲は、フィギュアスケートにおいて、滑りのスピードがなければ、魅力的に演じるのはとても難しいと言われています。新葉ちゃんのスピードとダイナミックな表現で、この曲を更に力強く、セクシーに演じてくれるのでは、という気がしてしまいます。

 

  更に妄想は続く。男性ボーカルの曲でこれまた切ないラブソング。香港出身のシンガー兼ダンサーJackson Wangの「LMLY」。

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MVも歌詞もいやー切ない。だけど、メロディーがとてもキャッチ―でさわやかな曲なんですよね。この曲を滑ってほしいのは、友野一希選手です。

友野くんの音楽表現はいつも抜群で、見ている人の心に残る演技を披露してくれます。みんなを楽しい気持ちにさせてくれる友野くんが、こういう切ないナンバーに挑戦してくれたら、多分私が幸せです。冒頭のイントロから、曲のサビの部分まで、どんな風に、友野くんが滑りや表情で演じてくれるのか、とっても楽しみになりませんか?

 

  そして、少し、意外な組み合わせになるかもしれない曲をここでご紹介したいと思います。Khalid の2017年の名曲。「Angels」。

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  この曲で滑ってほしいスケーターは、羽生結弦選手です。どこか、悲しげだけど、決してあきらめない思いが垣間見えるこの曲。羽生くんは意外と、ソウルフルなナンバーで滑っていることが少ないよな~と思ったのですが、この曲の抑えた中にあるエネルギーを今の羽生くんのテクニックで、どういうイメージに作り上げてくれるのかが、本当に見てみたいと思わせてくれます。多分、羽生くんはなんでもできると思うけど、こういった陰りのあるボーカルでまた、今まで見たことのない羽生くんをとても期待してしまいます。

 

  最近、音楽の文化は、電子化されていて、すぐに携帯からストリームできるような環境が整いつつあり、人々は常に新しい曲にアクセスし易くなったように思うのです。その半面、過去の名曲をじっくり聴くというスタイルの楽しみ方が個人的に減っていくような気がしていました。けれど、フィギュアスケートを見ていると、昔の名曲を今のフィギュアスケーターが新しい解釈で滑っているのをよく目にします。「ああ、そうか、こうやって名曲が今のスケーターによって、今の私たちに繋がっていくのだな」私は、スタンダードな名曲のナンバーをプログラムとして見るときに、いつもそういった感動を覚えます。そして、願うのです。今、私が携帯で当たり前のように聞いている音楽も、未来を飛び越えて、未来のスケーターの色に染まって、未来の私たちに新しい感動を与えてくれることを。

 

今回、繰り広げた私の洋楽妄想トーク、プレイリストにまとめておきました。

Spotify – Bittersweet Delusion

タイトルは「Bittersweet Delusion」(ほろ苦い妄想)です。またいつか、未来の妄想トークを繰り広げられたら、いいな、と思います。