奇跡を見届けよう! 北京オリンピック フィギュアスケート団体予選観戦記

 

 

いよいよ、オリンピックが始まりました! 本日行われたフィギュアスケート団体予選。ブルーを基調としたオリンピックリンクで、スケーターたちの華麗な戦いが幕をあけたのです。まだ、団体戦、ということで、エンジンをかけたばっかりの選手たち。けれども、みなぎる緊張感と高揚感の中で行われた演技は、特別エモーショナルな風景に見えました。

全てをご紹介は出来ませんが、ここまで頑張ってきた日本人選手たちと、トップ選手たちの珠玉の舞を、ここでシェアさせて頂きたいと思います。

 

まず始まったのは、男子シングル・ショートプログラム

日本代表は、宇野昌磨選手。北京入国前にコーチのステファン・ランビエール氏がコロナ陽性に。その後の検査で陰性になりましたが、手続き上、出国まで足止めの状態で、合流まで、時間がかかります。演技の前の突然のアクシデント。動揺はしたと思いますが、演技は非常に落ち着いていました。

ひとつひとつのジャンプが軽やかにきまると、肩の力が入っていないしなやかさと、ためのある動きで会場を魅了します。今回、宇野くんのスピンを見たとき、初めて、向こう側に、スピンをしているランビエールが見えてくる気がしました。スピンに定評のあった、ランビエールさん。そのマインドは、教え子の彼にしっかりと引き継がれているように思えました。

 

トップに立ったのは、アメリカのエース、ネイサン・チェン選手。全く失敗する様子がないくらい、全てのエレメンツが安定していました。演目のラ・ボエーム。哀愁を感じる曲調の起承転結を、いつも以上に詩的に、情熱的に演じているネイサンを感じました。それまでの彼は、どちらかというと、スポーティーで、ドリルのような高難度のジャンプに目がいきがちだったけれど、大きな変化がオリンピックでみられました。年月を重ねて大人の彼のテイストがオリンピックという舞台でフルに発揮されていました。圧倒的な高得点で首位。しかし、戦いは始まったばかり。ここから、さらにギアを上げていくであろう彼を感じます。このとっておきのフルコース料理に、どんな味付けをこれから加えていくのか、期待が高まってきました。

 

続けて行われたアイスダンスのリズムダンス。

日本代表は、小松原美里/小松原尊組。夫婦カップルの登場です。

リズミカルなディスコナンバー、冒頭から、貫録と躍動感に満ちていました。ツイズルやステップは流れがあり、リフトもダイナミックで、女性が美しく見える素敵なリフト。念願の大舞台で、クールだったり、コケティッシュだったり、魅力を存分に伝えることが出来たのではないかと思います。みんなが注目するオリンピックで、溌溂としたチームココの演技が見られるのは、本当に嬉しい瞬間でした。

 

アイスダンスでトップに立ったのは、アメリカのカップル、マディソン・ハベル/ザカリー・ドノヒュー組。冒頭から終わりにかけて、どんどん加速していくスピード、どの場面においても、斜めに傾いたエッジ使い。こんな構成でよく転ばずにエレメンツを行えるな~と圧倒されました。近代的なリズムの楽曲とモダンで硬質的なムーブメント。ふしぎと、カナダのシェイリーン・ボーン、ヴィクター・クラーツ組の演技を思い出しましたね。低い重心でも、体勢が崩れない足腰の強さがあるからできるスケーティングだったと思います。

 

目が離せない戦いはまだまだ続きます。ペア・ショートプログラム

 

日本代表、りくりゅうこと三浦 璃来/木原 龍一組。

冒頭、笑顔でスタートラインに着いた二人。「Hallelujah」の曲が始まると表情は一変。憂いのある表情で、私たちを惹きこみます。

最初のスプリットツイストリフト、三浦選手が高く宙に上がって吸い込まれるように木原選手が受け止めると、もうそこから、最後まで安心してみることが出来ました。難しい要素のリフトやスローイングジャンプも、流れのある安定した完成度を見せてくれて、二人の絆の強さを思わせてくれました。この会心のSPで全体の4位につけたのは大健闘。日本のペアが世界で堂々と戦えることを、オリンピックで更に証明してくれました。

 

そして、ペアのトップはもう、点数を見る前に子の方々であろうと思わせてくれた二人。

中国の隋文静/韓聡組です。

もう、全てのエレメンツが段違いレベル。力強いリフトに、流れのあるスローイングジャンプ。非常にパワフルなのに優雅。なんだか、二人の演技を見ていると、女性のスイ選手が、鳥になって大空を飛んでいるみたいに見えてくるように感じました。余分な力が入っていないように見えるのに、やっていることは超力業。とっぷのペア選手のすごみにただただ、驚き、うっとりと見入ってしまいました。

 

団体予選、残りは女子シングルを残すのみ。団体戦が始まる前に、コロナウイルスの陽性反応で、ペアの選手が棄権になってしまったり、カナダのキーガン選手が、入国できなかったり、波乱が続き、不安にもなりましたが、戦いはすでに始まっています。様々な緊張の中で、選手が力を発揮しているこの瞬間、それは奇跡の連続なのかもしれません。今後も続いていく試合の中で、ひとつひとつの奇跡を大事に見届けていきたいと思います。