Let’s go Sunshine! まばゆいきらめきの戦い。フィギュアスケートジュニアグランプリ・オストラヴァ大会

 

 

ついこの間、フィギュアスケートJGPS(ジュニアグランプリシリーズ)がチェコオストラヴァで開かれました。この大会、日本の若手選手がつぎつぎと、上位に食い込み、フィギュア大国日本の強さを見せつけました。日本選手の活躍と、個人的に気になった選手をピックアップし、感想を綴っていきたいと思います。

 

島田麻央選手。

SP:ライオンキング

きれいな高難度のジャンプ、エネルギッシュなスケーティング、フィニッシュの高速回転Y字スパイラル。全てが言うことなし。まるで、太陽の光のよう。最初から最後まで卓越した技術で滑りぬけて、あっという間に終わってしまいました。

FP:パスピエ(バレエ組曲

冒頭のトリプルアクセル。踏切もきれいに富んでいるように見えました。流れのあるランディングに目を奪われます。4T惜しくも転倒。それでも、他の要素では、多才な技術力を見せつけてくれました。どなたかもおっしゃっていたけれど、コレオシークエンスのスパイラルにミッシェルクワンを思わせるところがありますね。もしかしたら、好きなのでしょうか? 今の彼女はきっと、真っ白なキャンバスのような状態と思われます。ここから、どんな色が加えられていくのか、麻央さまの今後に要注目です。

 

韓国のMinsol KWON選手。

SP:死の舞踏

あどけなさの残る少女が、曲が変わると一変。終始、妖艶さが漂い続けます。こちらも、ジャンプもスピンも、綺麗にきまりました。彼女は演技力があるスケーターのような気がします。全体的に、プログラムの雰囲気をつかんで、自分の色に染める力があるような。どこか、不穏で、ミステリアスな、現実感のない雰囲気を感じて、見入ってしまいました。

FP:ミュージカル「キャッツ」

髪型も猫の耳を作ってとてもキュート! プログラムに入ると、動きとか、目線がしなやかで本当に猫みたいでした。ミュージカルの楽しい雰囲気を織り交ぜながら、難しいジャンプも難なく着氷。演じる幅の広さを感じます。プログラムのたびに違った表情で役に入り込めるのは、天性のひらめきと思います。これからが非常に楽しみですね。

 

櫛田育良選手。

SP:映画「レッドバイオリン」より

大柄でキレのある動きが特徴的な彼女。姿勢がとてもよくて、リンクでも、見栄えがする選手です。最後のジャンプでミスがありましたが、哀愁が漂うスパニッシュのメロディーを緩急のつけた動きでよく表していました。音楽表現が非常に印象深く心に残る選手です。

 

FP:サムソンとデリラ

怪人サムソンを誘惑する悪女デリラをどのように演じるか。スケーターの解釈が問われるところですが、最後まで、力強く迫力を保ったまま、情熱的なフィニッシュ。きっと、今の彼女だからできる表現のように思います。まだ14歳ながら、貫録十分で惹きこまれましたね。

 

カップル競技。日本人スケーターの活躍が光りました。

 

ペア出場。“はるすみ”で知られる。村上遙奈&森口澄士組。

FP:ビートルズメドレー

ソロジャンプのトリプルルッツ高さがありました。コンビネーションジャンプとダブルアクセルのシークエンスと、凝った構成が決まり、勢いを感じさせてくれます。リフトやスピンなども、息が合っていて、お互いの信頼関係が形になって表れているようでした。

総合でも4位の大健闘! りくりゅうに続いて、注目ペアの登場に期待が高まります。

 

アイスダンス出場。“きだもり”の愛称がおなじみの來田奈央&森田真沙也組。

FP: 映画『レッド・ノーティス』より

まだ、ジュニアとは思えないほど、雰囲気が大人っぽく、成熟しています。スケーティングにキレと勢い。ローテーションリフトなども、力みが無く自然に行っていて、競技プロであることを忘れてしまうほど、人を惹きこむ力があると感じました。

総合3位と、こちらも大健闘。日本のカップル競技、明るい未来が垣間見えました。

 

続いては男子。要注目が続きます。

 

吉田希選手

SP:マラゲーニャ

冒頭のトリプルアクセルが決まったことで、流れが出来ました。以前、アイスショーで見たときよりも、ジャンプが安定してきているような。ジャンプ、ここぞ、というときに諦めない姿勢が見えました。ぎりぎりの戦いで、勝っていくには、強い気持ちが大事だな~と思わせてくれる演技。

FP:パイレーツオブカリビアン

4回転ジャンプを日本決めて、勢いが感じられました。疾走感のあるプログラムが体に馴染んで、いい集中で動いていたと思います。終わってみれば、逆転優勝。これからの戦いに弾みがつくような勝利でした。

 

韓国のMinkyu SEO選手。

 

SP:ポールアンカで「You are my destiny」

大人っぽい選曲。あどけない要望ですが、違和感がありませんでした。しっとりしたパートと、感情を吐き出すような強いパートで、緩急をつけるのがとても巧みで、起承転結がはっきりしていたように思います。プログラムを自分のものにして、小さな世界を構築していました。

FP:ニューシネマパラダイス

SPとは違う、柔らかくロマンティックな振付。夢をひたむきに追いかけるようなイメージが氷上に広がっていきました。途中、ミスはありましたが、曲をとらえるセンスやスピードあふれる滑りは、まばゆく輝いていて、目が離せませんでした。総合で4位となりましたが、まだ、13歳。大きく進化を遂げそうなこの少年。要注目だと思います。

 

フィギュアスケートシーズンの幕開けと共に、世界に飛び出していく新しいサンシャインたち。暗いことの多い世の中を明るく照らしてくれているようですね。彼女たちはまさに日の出の勢いを感じます。まだまだ、続く戦い。まばゆい光のきらめきを、これからも追いかけていきたいと思います。