絆を感じさせるカップル Team koko

今年の3月、コロナ禍の中で行われた世界フィギュア。様々なドラマがありました。その中でも、日本のアイスダンス代表として出場し、北京オリンピックの枠を見事に獲得した、小松原美里・小松原尊(ティム・コレト)組の活躍は、私に大きな感動をもたらしてくれました。

 

私生活でも夫婦の二人、リフトも、ツイズルも息がぴったり。そして、エキサイティングなプログラムもしっとりしたプログラムも、自在に演じ分けながら、品を感じさせる二人は、結成からすぐに日本のアイスダンサーとして、頭角を現し始めます。

 

Team kokoは小松原さんとコレトさんの頭文字をとって、呼ばれている二人の愛称です。

私が、この二人の演技に惹かれ始めたのは、2018―2019シーズンのこと。

二人の演技を初めて見た印象は、「とても、奥ゆかしくて、優雅なカップルだなあ」でした。

印象的なプログラムはエキシビションナンバー、「君の名は」。日本語の歌詞で滑るプログラムは、とても斬新でしたが、歌詞の内容が、二人の絆を感じさせ、二人は、映画の中の主人公そのままに、幻想的な愛の物語を滑り切りました。

 

カップル結成から、現在まで、決して平坦な道のりではなかったと思います。夫のティム・コレトさんは、日本代表として、オリンピックを目指すために日本国籍を取得。日本語も夫婦で勉強されていました。年々、インタビューでの日本語が、自然になっていくごとに、日本という国を選んで、「日本代表」として、努力を積み重ねていたことが、感じられ、ますます、応援したいな、という気持ちが深まっていきました。

2019―2020シーズン、夏の練習中に、美里さんが脳震盪などで、危険な状態になり、シーズンの試合を欠場しながら、必死でリハビリに励むことになった時は、本当に心配になりました。しかし、その年の全日本。フリープログラム「ロード・オブ・ザ・ダンス」で、二人は、ケガのブランクを感じさせない見事な演技を披露してくれました。アイリッシュ調の曲に乗って進む、軽やかなステップ、息の合った、ツイズル。これまでのエレガントな持ち味はそのままに、二人の演技に、雄大さ、力強さが加わっていて、完全復活の演技でした。「一人だったら、引退していた」当時、そう美里さんはおっしゃっていたそうです。

そばで支えてくれた、夫、コレトさんの存在と、美里さんの努力で、再び、氷の世界に戻ってきてくれたこと、最高の演技を見せてくれたこと、二人の絆は、本当に素晴らしいと思います。

 2020-2021シーズン、二人の演技はさらに安定感を増していきました。二人は、日本代表として、自信に満ち溢れ、試合を重ねるたびに、貫禄と風格を感じ、世界選手権に向けて、とてもよく仕上がっているように思えました。

そして、迎えた世界選手権。二人は、ショートダンス「ドリーム・ガールズ」、明るい曲調で、楽しくのびのび演じきり、フリーへ進出することができたのです。

2018-2019シーズンは、あとわずかな点差でフリー進出がかなわず、終わってから涙していたという二人。様々なことを乗り越えて、見事リベンジを果たした日本のアイスダンス界のエース。私は、地道な努力が実を結ぶことを、二人は演技で教えてくれたと思いました。

フリーを終えて最終順位は、19位。22年北京オリンピックの代表枠「1」を獲得。とても素晴らしい結果でした。

この結果は、二人にとっての新たなスタートだと思います。困難な時代の中、夢をあきらめないで、挑み続けてきている二人が、北京オリンピックで更に輝けることを、私は、とても期待しています。